【地域と取り組む】観光もサーキュラー型へ ~松本-高山エリアの光を灯し続けるということ~
Raicho Inc 代表の藤江です。
11月14日からRaicho Inc恒例の1ヶ月の宿・カフェ休館をしている。例年はこの時期にみんな海外に旅に出てしまうんだけど、コロナで2年連続それが実現できていない。
しかし、コロナ前から僕自身は休暇を取りながらも事務仕事をしたり、事業計画を立てたり、情報のインプットと思考の時間に当てているので、場所が海外か日本かなだけ。
宿もカフェも営業していれば、どうしても日々の運用を回すことに時間を使うことになるので、僕は創業当時からこの休業の時間を大切にして、次なるアクションを冷静に考えることにしていた。
まだ1週間ちょっとあるけれど、今回の休暇のアウトプットを兼ねてブログを書きます。
まず11月14日から行ったことやったことを挙げます。
Restyleさんが手がけるRevive Mobler Project (愛知県春日井市)
廃材を使ったテーブルをオーダーしました!
Zero Waste Center & Hotel Why (徳島県上勝町)
過去ブログ:ゼロ・ウェイストセンターと乗鞍高原
未来コンビニ(徳島県那珂町) 秘境に生まれたコンビニ
浦島ビレッジ(香川県三豊市)地域共同出資会社による経営
剣山登山&剣山ヒュッテ(西日本第二の山)
観光先進地黒川温泉の勉強会(のりくら高原観光協会役員オンライン参加)
過去ブログ:黒川温泉が地域・観光地創りの見本である6つの理由
伊那谷フォレストカレッジ 焚き火会議(長野県伊那市)
僕が敬愛しているやまとわさん運営
乗鞍若者第一回未来会議
内閣府地方創生SDGsプラットフォーム勉強会に講師として登壇
All Birds 丸の内店 デザイン性・快適性・そしてサステナビリティーに取り組むシューズショップ
高校の親友たちとの久しぶりのリアル飲み
実家の法事で家族の時間
松本高山Big Bridgeサステイナブル先進地視察に同行(京都)
・京都府観光連盟
・Good Nature Hotel & Good Nature Station
・京都市環境政策局 地球温暖化対策室
・Zero Waste Kyoto
・ととや 量り売りスーパー
・南丹市美山観光まちづくり協会
京都の仲間とジビエ飲み会
KeFU Stay & Lunge
GREEN SHIFT 駒ヶ根に登壇
凄まじいインプットであった笑
そしてそれぞれの地域の取り組みはとても素晴らしく、ローカルにはたくさんの仲間や未来を考えている人たちがいるのだなと感じた。
サステイナブルな取り組み、観光地経営、宿の運営、未来をどうしていきたいのかを考えた日々。セミナーに登壇させて頂く機会も増え、ありがたい経験を積ませてもらっています。恐れ多い方々の中に混ぜてもらえて光栄です(汗)
GREEN SHIFTとは2030年を創るイノベーターたちが、協働し、成長しあうコレクティブ・プログラム。「GREEN SHIFT」は、共創・協働の輪を更に推し進めたかたちで、上記の課題を深く理解、自分ごと化し、専門家や企業と共に解決策を編みだすためのコレクティブ・プログラムです。ここにおける「GREEN」は地球環境だけではなく、「人類のウェルビーイング」と「繁栄」へのグリーン・シグナルを灯すという意味をもちます。
ということで、2021.12.01 – 12.03に長野県駒ヶ根市で開催されたNbI(ネイチャー・ベースド・イノベーション)SF的思考+自然+再生にイノベーションの未来を探る、に「自然の価値を問い直す」〜地域から生み出す循環型エコシステム〜という場で、伊那のやまとわの奥田さんにお誘い頂き、同じく伊那にある棚田で無農薬・無化科学肥料で米を生産しているWakka Agriの代表の細谷さんと事例紹介&ディスカッションさせてもらいました。
そして仲間と共に剣山に登り、東京で大切な高校の友人たちや家族にも会え、京都で新たな仲間ができたりもして、とても有意義だった。
今回の一連のことをどうまとめようか迷っていたけど、サステイナブル先進地視察で環境省からレポートを出してほしいと言われて書いたので、それを今回のアウトプットとしてそのままここに記載してしまおうと思います。
なお、僕は環境省・松本市・高山市の松本-高山Big Bridge構想のサステイナブルツーリズム検討部会に入っており、この中部山岳国立公園南部地域を中心に松本-高山のエリアを一体としてサステナビリティーを考慮した観光地創りやプロモーションを考えるメンバーに誠悦ながら入れてもらっています。
はじめに、サステナブルツーリズムとは、
『地域と旅行者が共に国の「光」を絶やさず灯し続けることである』と理解する。
京都という日本の観光の最高峰を訪れたことで、松本・高山地域における光とは何であるのかということをまず考えさせられた。
それ(光)を私なりに表現すると、
「日本を代表する山岳景勝(自然環境)」
「山(自然)の恵を享受する高地の暮らしと知恵」
気候変動による自然環境の変化や、地域経済の衰退・人口減少により、それらの光がこのままでは消滅してしまう可能性があることは、今や多くの人が疑いもなくなってきた。そしてそれは乗鞍地域だけではなく日本の多くの場所で同じ課題に直面している。
国の光を灯し続けるために今考えなくてはならないこと
ツーリズムという視点で、何が自然環境と人々の暮らしを消滅に追い込んできたのか?
そして、ツーリズムという視点で、自然環境と人々の暮らしを持続可能にしていくためにはどうアプローチすれば良いのか?
ここを徹底的に考え、光が100年先もそしてその先も、灯っているようなストーリーを描くことが今を生きる我々の責務である。
松本・高山の特にこのアルプス地域においては、この人口減少時代に、観光で訪れる人たちがいるからこそ、山間部の豊かな暮らしが残こり発展すると考えた方が良い(観光以外の新たな産業を生み出すことも同時並行的には進めたい)。美しい自然環境という光も、人々が関わり合うからこそ、その輝きが増す。山小屋がなければ、登山道が整備されていなければ、北アルプスの山々からの壮大な景色や豊かな自然を楽しむことはできない。
では、なぜそれが消滅する可能性があるのか?
1.限りある資源(エネルギー・素材)を循環型で利用せず使い果たしてきた
2.効率よく稼げる方法と物質的な豊かさを求めすぎた
3.次世代の人材育成をしてこなかった
これらをツーリズムという視点でさらに、掘り下げて見ると、
- 観光事業者の事業活動で活用する資源(エネルギー、素材)が循環型ではなかった。つまり宿・交通・飲食・サービスが石油・ガス資源に頼りすぎていた。
- コスト(人・金)を下げるために、どこかで大量生産型で作り出された製品や誰かに責任や犠牲(搾取)を押し付けて成り立つ製品を使っていることに気づけなかった。そしてそれらが沢山、効率よく消費してもらうことが観光事業においても事業継続していく上でのビジネスモデルとなってしまっていた。おもてなしと過剰なサービスの線引きが曖昧であった。
- バブルの時とビジネス環境や価値観などの変化に対応できず、今の時代に求められるスキルを獲得できず、若い世代に対しての育成もできていなかった。
観光もサーキュラー型に変化する時
これまでの過程を責めたいわけではなく、これまでの時代における豊かさの追求のためには必要な過程であった、もしくは考えなくても良かったが、結果的に課題が生じてきたという考え方をしたい。
よって、この1.2.3への対応が急務であり、それらのアプローチは以下と考える。
1.再生可能(サーキュラー)エネルギーの利用、エネルギーの地産地消。石油資源(プラスチック等)由来の素材の削減・リサイクル・リユース。
2. 単純な安さ・見栄え・美味しさ・長持ちから、トレーサビリティーを上げて、フェア・オーガニック・健康・地産・サーキュラー(経済・物質の循環)といった視点の上での安さ・見栄え・美味しさ・長持ちを「できるだけ」選択する。自然への負荷・地域の暮らしやライフスタイルの持続可能性・観光客の満足度のバランスがうまく取れる、入込数と平準化・サービススタイル(長期滞在や食事アメニティーなどのサービス)に取り組む。
3.若い世代を中心に、現役世代も含めて時代の潮流や経営・自然環境科学の知識を深めていく。
Big Bridgeで取り組むサステイナブルツーリズムという視点に立ち返ると、地域として共創しながらこれら1.2.3のサステイナビリティに取り組む姿勢を、世間にわかりやすく共感が得られやすいように表現し、絶えずアップデートしていく。そしてそれらの取り組みに観光客も体験や参加できる場を提供し、関係人口を増加させていくことで、地域と自然環境も持続可能に向かいながら、自然と選ばれる観光地となっていくのではないだろうか。
地域の皆さんと共に、スピード感を持ってやり抜きましょう。
Raichoがこの地域からいなくなってしまう前に。
文章:Raicho Inc. 代表 藤江佑馬
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