Raichoで目指す未来

少年時代からの思いを、
人生を通して表現し続けたい

Raicho Inc 代表
藤江佑馬
01.
今のRaichoに至った軌跡
Raichoの理念

Raichoは、2023年9月に創業9年目を迎えました。
創業時に思い描いていた理想はほぼ現実となり、自分が人生をかけて取り組みたいと思っていたことに、事業を通して取り組めるようになってきました。理想を目指す中で生まれた新しい出会いを通じて、Raichoの可能性はどんどん広がり、過去に想像していなかったことが新しい夢やゴールとして見えてきています。
一つの区切りとして、企業理念を改めて言語化し直しました。

  • 01.
    2030年乗鞍地域のゼロカーボンを達成する。
  • 02.
    サキュラーエコノミーとサステナビリティーの先端を歩みながら、利益率を上げ、地域経済と自然を 循環させると共に社員の年収を日本の平均年収レベルにする
  • 03.
    会社も社員も成長を続け、プロフェッショナルな企業人となる。
  • 04.
    長期休暇で地球と自己に向き合う時間を作る。

詳しくはこちらのブログをご覧ください。
僕たちが目指す理想に向けて、より推進力をアップするべく、同じ志ある仲間を集めたいと思っています。

自分の原点

僕の原点は、「雪がなくなったら嫌だ」という思いです。

僕は、雪がすごく好きな子供でした。出身は千葉で、雪があまり降らない地域だったんですが、年に一回は必ず10センチ、15センチくらい積もる日がありました。そんな日は両親や友人と、もうとんでもないくらい遊びまくったんです。それが、本当にめっっちゃ楽しかった。そんな体験から、「雪が降ると絶対楽しい!」という感覚が、自分の中に根付きました。今でも「雪遊びってめっちゃ楽しいじゃん!」と思っています(笑)。これだけ楽しくて、大人も童心に帰れて楽しめる自然のものってほかになくない?と。雪の中で遊ぶことは、自分の中の全ての喜びに繋がっている気がします。

でも成長するにつれ、全く雪が降らない年が出てきたんです。ちょうど京都議定書という、地球温暖化に関する宣言が出された頃でした。当時の社会の先生がどういうものかを教えてくれて、授業の中で「一人ひとり調べて新聞をつくろう」ということになって。すごく一生懸命に調べて書いた記憶があります。
環境が破壊されたら、大好きな雪がなくなってしまう。僕が心から喜んだり、楽しいと感じられる存在がなくなってしまう。「それだけは絶対に嫌だ」と思いました。子供ながらに、なんとかしなきゃと思った。

高校に進学しても、その思いは変わりませんでした。すでに「気候変動や地球温暖化、環境問題に人生を通して取り組む」というのが、自分の中のテーマになっていましたね。だから大学も、環境と気象学を学べるところを選びました。
でも色々学ぶ中で、何もできない自分に気づいたんです。結局、当時の自分にできることなんてゴミ拾いくらい。もっとインパクトを与えることをやっていかないと、地球温暖化を食い止めることはできないと感じました。そのためにはまず、自分が経験を積んで成長していかなければならないと。

だから、成長できそうな会社に就職して、めちゃくちゃ働きました。社会人10年間を修行として捉えて。経験を積んで成長しないと、環境に対して何もできないと思いました。そうやって働いてある程度の区切りがついたところで、もっと自分のやりたいことをやるために事業を立ち上げました。それが2015年のことです。事業継承というかたちで乗鞍の宿を引き継いで、宿をやり始めました。

最初の3年間は、黒字を目指すことに徹しました。まずビジネスとして成立させなければ、何も生み出すことができないので。
やっと黒字になり始めた頃、乗鞍観光センター1階の店舗が空くという話を聞いたんです。そのとき、ようやく自分の思いを表現できると思ったんですよね。今まで自分が抱いていた、「気候変動や環境問題に対策をしていきたい」という思いを、この場所で表現できるんじゃないかって。

そうして始めたのが、GiFTNORiKURAです。

同じ時期、周りでも同じような動きが現れ出しました。「のりくら高原ミライズ」というものが、2021年3月に策定されたんです。これは、乗鞍が地域として、地球環境に対して先進的に取り組んでいこうということを、ビジョンとして宣言したもの。乗鞍は自然資本の地域です。観光資源も、普段食べているものも、みんな自然の資源。だから、環境への意識が高い人が多かったんですね。松本市が脱酸素先行地域になったこともあり、乗鞍地域がカーボンニュートラルを達成していく一つのモデルになろう、という流れができてきたんです。
だったら自分たちも、会社として一緒にやっていこうよ、と、地域の取り組みに進んで関わるようになりました。Raichoの活動と、世の中の流れがぶわっとマッチしたと感じましたね。これはやらなきゃなと思った。道が開けた気がしました。

雪を守ることは環境を守ることで、環境を守ることは雷鳥を守ること。そのための活動を、今、Raichoという名の会社で行っている。本当に運命みたいなものです。いろんなことが繋がって、物語になっていますね。不思議と。

冬のスノーシューツアーでは、山の中でそり遊びをするんですが、みんな夢中で楽しんでくれるんですよね。大の大人が、「うわあああ!」っ大歓声上げて(笑)。その姿こそ、幸せのすべてな気がします。あの楽しさを味わうことが、人生の醍醐味なんじゃないかな。それをなくしたくない、ただその一心でここまで来た気がします。

02.
Raichoの一員になるということ
理想と現実のギャップ

みんなにはよく「理想と現実のギャップをきちっと捉えよう」と話しています。
乗鞍はいいところだけど、課題もたくさんあります。理想は理想で、現実は現実。ギャップを感じるのは当たり前です。理想を持ちながらも寛容である、ということは、常に意識するようにしています。理想と現実のギャップを認めようよ、課題にぶち当たっても、それは理想とのギャップだよね、しょうがないよね、と。そのギャップをむしろ楽しんだり、どういう時間をかけて埋めていけるかを考えたりしていけばいい。要は捉え方ですね。

僕も理想がいっぱいあるので、できてないことばかりだと思うこともあります。でもそんなときは「じゃあ、できたことは何だろう」と考える。理想の中で一つでもできていることがあれば、自分を認めるようにしています。完璧主義だと苦しくなってしまうので。

ギャップを受け入れつつ、やれることは積極的に「実践」することが大切だと思います。結局、大きなインパクトを与えるのは役所や大企業の務めなのかもしれません。でも、人生のなかで実際にアクションを起こすのは自分なんです。やれることからやるしかない。自分たちにできることを考え、一つ一つ実践していく。このやり方に共感して、乗鞍の未来を一緒に考えてくれる人が増えたら嬉しいですね。

目指す未来の共有

Raichoでは大体3カ月に一回、社員が集まる会議を開いて、中期事業計画を確認しています。僕たちがどこに向かっていくべきか、理想とする未来のために今何をしていくべきかを、毎回うるさいくらい共有しますね(笑)。しっかり言語化して、資料にまとめて、一緒に見ながら、道筋を確認する。言語化は、普段からめっちゃ意識しています。
一人ひとりがやりたいことをやれる状態が一番ですが、定期的に方向性を共有しないと、みんな迷っちゃうんですよ。僕らは今何を目指していて、それぞれどうアクションしていくんだっけ、と思い出す時間を大切にしています。

たとえば、「2030年に向けてゼロカーボンを達成する」というのが直近のミッション。そのために必要なのは、乗鞍ミライズをどんどん具現化していくこと。そのために目指すのは、環境に配慮したモデルの宿になっていくことだよね、というように。
暮らしの部分でいえば、乗鞍の関係人口を増やしたい。そのために、乗鞍の暮らしと親和性の高い人を引き寄せるような宿にしていこう。そのために、デュアルライフをサポートするコミュニティをどんどん運営していこう、と。
目標とそのためにするべきアクションを、一つ一つ自分たちの中に落とし込んでいます。

それと合わせて、個々の目標を確認する場も設けています。Raichoにはゲストハウスやカフェ運営以外にも、地域に関わるたくさんの仕事があるので、一人ひとりに「あなたはどうしたいか」「どんなことに興味があるか」、そのときの思いを確認するようにしています。確認できたら、「じゃあこの事業のこの部分は任せるよ」と、仕事をお願いする。それぞれのやりたいことと、Raichoで目指していることが重なって、「一緒にやっていこう」となる状態を目指しています。

年2回の長期休暇

Raichoで働く魅力の一つは、長期休暇です。年2回、約1ヶ月間の長期休暇があるんです。普段の生活から離れて、自分と向き合う時間を取ってもらうための休暇。ちなみに僕は、2週間後にペルーに行ってきます(笑)。

長期休みを重視しているのには、前職時代の経験が大きく関わっています。僕、元々いた会社がめちゃくちゃ好きだったんですよ。でも、人生が仕事オンリーになっていたんですね。物事をじっくり考えるとか、本当に自分のやりたいことを見極めるためには、ある程度休む時間が必要だと感じていました。でも長期休暇を取れる会社なんて、日本にはあまりないじゃないですか。だから起業したとき、「自分と向き合えるような長期休暇を取れるような会社にしよう」と決めました。

生きていくうえで、迷いはなるべくないほうがいいと思うんですよね。悩みは尽きませんが、自分が向かっていきたい方向がわかっていれば、やるべきことに迷わない。そのためには、普段から離れた場所に身を置いて、自問自答する時間をきちっと作り出すことがすごく大切だと思います。1週間じゃ足りない。1ヶ月間くらいあったほうがいい。それくらい時間があると、日常からちゃんと離れられるので。その時間で自分の軸をもう一回定めて、5年後10年後はどういう風に行こうかっていうことを考える。それが結果として、仕事に活きたりするんですよね。

独自の採用基準

僕の中で、一つの採用基準があります。それが、テントを担いで1人で標高2000m以上の山岳テント場でテント泊できること、もしくは今後1年以内にできるようになりたいと思っていること。結構前から言っていることですね。
大前提として、自立している人が、Raichoにはフィットすると思っていて。でも、こんなテント泊ができなくても自立している人はいっぱいいるじゃないですか。それならどうして、こんな一見ハードな採用基準を設けているのか。それは、「不確かな状況でも、ちゃんと自分で考えて答えを見つけられる人」であってほしいからです。

今って、答えを見つけやすい世の中じゃないですか。本当は答えなんてどこにもないのに、スマホをいじれば答えらしい答えが簡単に手に入る。それが本当の答えではなくても、答えだと思い込んで考えるのをやめてしまう。
一人で2000mの山に泊まるとなると、いろんな判断が必要になります。誰も答えを教えてくれない。自分で考えなければならない。何を持って行くか、何を置いていくか。あんまり持ちすぎると重くなって、行動がめっちゃ大変になる。そのトライアンドエラーの中で、「次回はこうしていこう」という最適化を、自分の中で行わなくてはなりません。天気の判断も大切です。でもそういった判断能力が、現代人は少し廃れちゃってる気がするんですよね。生ぬるいお湯の中で、誰でも生きていける状態になってしまっているから。

自らの判断で、いろいろ失敗をしながら最適化をするというプロセスは、人生とすごく近いと思います。人生は、何を背負って生きていくかなので。そこを自分できちっと考えられる人がいい。だからこそ、登山・テント泊経験がある人、あるいはやっていきたい人の方が、他人に依存せず、自立して物事を考えられる、自分の時間を自分で作って、失敗しても最適化するプロセスを楽しめる人なんじゃないかなと考えています。Raichoならではの採用基準ですね。

03.
人生は自己表現、僕はただ生きているだけ
「働く」とは

「藤江さんっていつ休んでいるんですか?」と聞かれると、答えるのが難しいんですよね(笑)。ずっと仕事している気がするし、でも前職のときのように「人生が全部仕事になっている」という感じではないし…。

仕事とか休みとかで区切れるわけじゃなくて、全部「自己表現」なんだと思います。仕事も、登山も、休暇も、いろんな時間全部含めて。一人の人生を表現しているだけですね。僕はただ、生きてるって感じです。日々生き続けてる。

うちにはスタッフ憲章というのがあって、その中の一つに「自己実現の先の他者実現を目指す」というのがあります。自分だけでは幸せになれないから、まずは自分の周りを幸せにしよう、という考え方。僕も、もちろん環境や地域に貢献することは大切だけど、まずはスタッフが笑顔で、やりたいことをやれていて、生き生きとした生活を送れることを第一に考えています。結局彼らが幸せだったら、僕も幸せですし。みんなが自分の幸せを求めることも大切だけど、周りが幸せだと自分も幸せじゃないですか。それがどんどん広がっていくと、いい循環が生まれる気がします。

まだ見ぬRaichoメンバーへ

まずは、雷鳥の事業に共感してくれたら嬉しいです。そのうえで、サスティナビリティに興味があるとか、環境に対してアクションを取りたいとか、地域づくりに興味があるとか…とにかく山の中で暮らしたい人たちにとって、「こんなにいい場所はないよ!!」と伝えたいです。本当、こんなに素晴らしい場所はないですよ。ここに何の不満があるの!?とすら思っちゃう(笑)。

僕たちは環境へのアクションを日々実践しているし、持続可能なライフスタイルについて真剣に考えているし、理想の未来を目指して動いている。課題は山ほどあるし、理想と現実のギャップだっていくらでもあるけど、本当に、みんながそこを目指して一つずつでもやっていこうという意識がある。この混沌とした時代の中で、こんな世界はあんまりないと思うんですよね。
僕たちは、「自分たちが残念だと思うことは絶対しないようにしよう」と決めています。たとえばGiFTNORiKURAでは、本当に全て中で手作りしているんですよ。自分たちが自信を持てる素材で全部提供している。普通の飲食店で働くと、嫌な部分も結構見えると思うんですよね。使う素材とか、廃棄の量とか。自分たちが自信を持って出せるものを提供することが、本当に楽しい。他の飲食店では中々味わえない体験ができると思います。

とにかく一度、いいとこだから来てみてほしい。
乗鞍に引っ越してくる人には、未知を楽しんだりとか、初めての場所に飛び込む楽しさを知っている人が多い気がします。何とかなる精神は大切ですね。本当に何とかなるんですよ。テント泊もそう。ちゃんと生きられるんです。それだけのインフラは整っています。登山道があって、キャンプ場がきちっとあって、水も出るしトイレもある。だから、そんなに難しいことじゃないんです。
でも、これだけ便利なものが世の中にあふれていると、自然に飛び込むハードルがどんどん高くなっちゃうんですね。でも、人間が本来持っている能力は、可能性に溢れていると思っている。だって、僕たちはずっと自然の中で生きてきたわけですから。

歩こうと思ったら、人は1000キロだって歩けちゃうんです。僕もトレイルを歩いていて、「自分ってこんな歩けるんだ」と気づくことがあります。走ったらそんなに長く走れなくても、時間をかけて歩けば、たどり着けるところまではたどり着けると思っています。

一緒に、見たい景色を見に行きませんか。

雷鳥のいる未来を、
一緒に見に行きましょう

国の天然記念物である雷鳥は、「神の使い」とも呼ばれています。高山でしか生きることができず、私たちも中々出会うことができません。
雷鳥のいる景色を残すことは、大好きな自然の風景を残すことです。
理想と現実のギャップを受け入れながら、理想の未来に向けて一歩ずつ共に歩み、みんなで美しい景色を見に行きましょう。