山奥で理想の企業を目指して 2023年8月

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代表の藤江です。
2023年9月で乗鞍に来てから8年が経ち、9年目に入ります。コロナ禍も経て、会社のステージが変わったな感じたので、改めてRaichoが目指している理想の企業とは何かを言語化したいと思います。

まずは過去の理想について振り返ります。
2015年1月に前職を退社し、2015年9月に乗鞍に来て事業承継を経て今の会社の代表となりました。2015年当時の理想は以下のような感じでした。この頃はまだ個人の理想ですね。昔の個人ブログを読めば同様のことが書いてあります。

1.自然の恵を味わい、季節の移ろいを感じながら暮らしたい

2.長期休暇を設けて世界中の美しい景観をみたい

3.現代版湯治宿で人々に新しい休暇の概念を提案したい

実はその当時に言葉にしていない想いが上記3つの中に関連してもう一つありました。それは、学生時代から4.気候変動に対して今の地球環境を保全できるようなアクションを取りたいということでした。

僕は中学時代からその想いを持っていたので、大学進学の学部学科選び、就職で気象情報会社という選択をしており、その想いをどう形にしていけば良いかずっと考えていました。

この辺の経緯も上記の過去のブログにも記載しているのですが、魅力的な宿や長期滞在をする人が増えて、乗鞍の美しい自然に触れる人が増えれば増えるほど、地球環境について考えてくれる人も増えるのではないか、という間接的な形で、そのもう一つの想いを行動に移していました。その後、2019年に観光センターの空き店舗が出た時に、ようやく自分のやりたいことを直接表現できる場がきたと思い、GiFT NORiKURAを立ち上げました。まだサステナビリティーという言葉もそこまで世の中に浸透していない段階で、サキュラーエコノミーの視点やサステナビリティーをできる限り実践した店舗を作っていきました。

1.2については2018年の段階ですでに実現しており、2018年は、事業承継してから3年で事業が黒字に転じ、仕事以外の時間でたくさん山に登っていたし、1ヶ月の長期休暇で海外にも行ってました。

3については、コロナ禍でようやく時代が僕が実現したい方向に変化し、それまで全然売れなかった長期滞在プランが、ワーケーションという言葉で一気に売れるようになりました。

コロナ禍はこれまでも地域課題としてあった、乗鞍地域の持続可能性を考える時間となり、地域の皆さんと「のりくら高原ミライズ」という地域ビジョンを策定し、持続可能な乗鞍地域にしていくための活動時間が増え、これも縁なのか運なのか、それとも必然なのかわかりませんが、乗鞍地域が国立公園のゼロカーボンパーク第一号に登録され、国の脱炭素先行地域にも選ばれ、日本の国立公園や観光地の脱炭素化を行っていく上でのモデル地域になりました。

2021年に社名はアルファベットに変更しましたが、Raicho incという会社の名前を使わせてもらっていることにも非常に運命を感じています。今、Raichoはまさに4を推し進めています。

ということで、理想を現実にしてきている中で、次のステージに会社を成長させていくために、もう一度アップデートした会社としての理想を言語化していきたいと思いました。それが以下です。

Raicho inc の理想=ビジョン 2023年8月

1.2030年乗鞍地域のゼロカーボンを達成する。

2.サキュラーエコノミーとサステナビリティーの先端を歩みながら、利益率を上げ、地域経済と自然を 循環させると共に社員の年収を日本の平均年収レベルにする


3.会社も社員も成長を続け、プロフェッショナルな企業人となる。


4.長期休暇で地球と自己に向き合う時間を作る。

Raichoの主力ビジネスは宿泊とカフェですが、それ以外にも代表藤江を中心に乗鞍地域のゼロカーボンを達成するためや、乗鞍地域のサステナビリティーのため、もう少し広域の松本-高山地域の活動(信飛トレイルやプロモーション等)を行っています。そうした中で、今のRaichoのメインミッション、みんなの目指すゴールは明確で、「1.2030年乗鞍地域のゼロカーボンを達成する」としてます。

宿やカフェの事業はそれを実現する手段と捉えています。もう少し具体的な言語化をすると、もちろん、宿もカフェも今、おそらく日本でもここまで取り組んでいる宿やカフェはない(とサーキュラー界やサステナビリティー界の方々から手前味噌ながら言われる)と言われているほど、そもそも事業の中でゼロカーボンにつながる取り組みをしています。それら直接的な取り組みはまだまだ改善できることややれることは沢山あり、日本の国立公園のモデル宿、モデルカフェを目指しているのですが、我々が大事にしているのは、それと合わせて利益です。

超高齢化の人口減少が続く地域において、さらにゼロカーボンを達成していく上で、「稼ぐ」ことはめちゃくちゃ大事だよねと社員みんなで落とし込んでいます。もう少し具体的に言葉に落すると、稼ぐことで、サーキュラーエコノミーや地域のサステナビリティーを推進しようとしています。

2015年当時は僕1人で乗り込んできましたが、今や繁忙期はグループ会社のCODO incや短期バイト含めて14名が働き、社員はRaicho5名、CODOで1名います。事業を継続的に成長させる=つまり稼ぐことは、まず持って人口減少に悩む地域にとって、僕は一番大事だと思っています。行政などと移住促進の取り組みももちろん平行してやれるのはベストですが、そもそも魅力的な地域とは、元気があること=若い人が集まり、地域経済が豊かに循環していることだと思うのです。


そして、地域活動の多くは、事業性とは直接結びつかないところで、様々な会議に出席し、アクションを遂行していくことになります。その時間と労力はとてつもなく大きいもので、未来を作っていく生産年齢の若い人たちが自分たちの仕事や事業を抱えながら実行していくことはとても難しいのは言うまでもありません。都会で暮らしているサラリーマンには中々想像つかないかもしれませんが。特に観光地はコロナ禍の大打撃で、多くの事業者が負債も抱えており、さらに乗鞍地域の観光業はほぼ家族経営であり、地域活動に時間をかけたい気持ちは山々だけど、自分のビジネスに集中したいというのが本音だと思います。

だからこそ、地域活動に積極的に関われる時間を作り出せるくらい、そもそもサキュラーエコノミーやサステナビリティーを考慮した事業を成長させ、組織を作り、地域活動に人や時間を作り出せるような企業になりたいと僕らは思っています。そうすることが、乗鞍地域が持続可能になり、2030年にゼロカーボンを達成する道だと思っているのです。それが「2.サキュラーエコノミーとサステナビリティーの先端を歩みながら、利益率を上げ、地域経済と自然を循環させると共に社員の年収を日本の平均年収レベルにする」の意味です。

そして、2.ではさらに、社員の年収を日本の平均年収レベルにすると謳っています。田舎は賃金が低いとか、環境配慮すると稼げない、などの言い訳は言いたくない、言わせない。山奥でゼロカーボンを目指すために、地域活動に積極的に参画し、サステナビリティーに配慮した事業を行っている会社の社員が日本の平均年収である状態は、日本全体が脱炭素社会やサステビリティーを目指す上での起爆剤になると思っています。それは様々な地域で奮闘するローカルプレイヤーたちの勇気が出るのではないかと勝手に思っています。

一方、ここはもう一つブログを書けるくらいのテーマかと思いますが、そもそも平均の状態に達していない中での空論ですが、サステナビリティーを考慮した場合、めちゃくちゃ収入が高い状態ってどうなんだろ?と思うところもあり、目指すべきは平均としました。幸せはお金では決まらない中で、幸せを感じる暮らしている個人が必要以上に収入を得るのであれば、もう1人雇って人口増やし、サステナビリティーを推進する活動や投資を推進したいよねと言うことです。

現時点でRaichoは日本の平均水準には達してないですが、年々水準が上がり、少しずつ平均に近づいてきました。参考までに年齢別の今の日本の平均年収を示しておきます。事業の中で最も生産性の低い宿泊・飲食でさらに小規模事業の中でここを目指すのはかなりレベルの高いチャレンジですが、みんなと一歩ずつ理想を現実にしていきたいと思っています。

また働いているスタッフの経験年数が増え、実力がアップしていけば、全体の給与水準が上がっていくため、もっともっと利益を上げるビジネスモデルにしていかなければならないなと感じています。そのために「3.会社も社員も成長を続け、プロフェッショナルな企業人となる」があります。

僕は今年「成長」と言う言葉を社員たちに多く使っています。成長は人間の欲求の一つでもあり、そこに蓋をせず、きちんと向き合っていこうと。そのための「場」も会社として提供しています=積極的に人に投資をしているし、社員の成長のために僕の時間を使っています。成長はこれまでの自分のできる範囲ではなく、ちょっと背伸びしながらできないことにチャレンジしていく過程で起こるものであり、喜びだけでなく耐えられる範囲の苦痛も伴います。みんな大変ではありますが、今の状態に満足せず、変化を恐れずに、理想に向けてチャレンジしていこうと。もちろん経営者である自分にもムチ(ムチ入れすぎましたが)を入れ、今年2つの新しい会社も設立し、僕自身ももっと経営力を上げていくために、経営塾にも通って勉強しています。「Life is what you make it」これはRaichoの社是であり行動指針です。

「場」という例では、今年バリスタ研修を4泊5日で受け、僕含めて6名が民間の会社のバリスタ認定を受けました。そこに50万ほど投資をしています。その結果、GiFT NORiKURAも新しい会社であるCODO incの運営するKURUMuもカフェとしては、山奥にはあまりないコーヒーに対して専門性と高いスキルを持つスタッフで運営することができています。その結果、市況の影響ももちろんありますが、今年のGiFTはコーヒーメニューを強化し、選択と集中の中で売上が爆増しました。それ以外にもGSTC研修、ガイド研修などに積極的に参加を促しています。

山奥だから、と甘えず、ローカルでめちゃくちゃ経営力があり、個々のスキルが高い会社を目指し、そのためには社員が仕事に対してプロフェッショナルであり、世界の企業が欲しがるくらいの人材まで成長してもらいたいと思っています。そうすれば、会社の利益は必然的に上がっているでしょう。

最後に「4.長期休暇で地球と自己に向かう時間を作る」ですが、これはこれからの時代の生き方としてRaichoが提案する生き方です。すでに実現できてはいるのですが、強化し広めていきたいと思っています。

情報過多、デジタルと向き合う時間が長い、変化の激しい時代だからこそ、僕らは、自然(地球の自然と自分自身の自然体)と向き合う時間を積極的に作り出す必要を感じています。そのためには日常から少し長く離れた長期休暇を取り、一旦頭の中をリセットして、自分自身と徹底的に向き合い、様々な余計な情報に晒されても自分をしっかり保てる軸を定める。そして美しい地球や生物多様性に触れる中で、僕らが生きているのは自然の恵のお陰だと言うことを何度も再認識し、人生において自分自身が大切にしたいこと、理想と今のギャップをしっかり見つめ、どのように理想を目指していくかを考える時間を作ることが、それぞれの幸せの道を歩むために必要なのではないかと思っています。

さて、Raicho incでは、志を共にする仲間を継続的に募集しています。2023年12月に向けて採用ページをアップデートしていく予定ですので、そちらも楽しみにしてもらいたいのですが、現段階でも以下から応募可能ですので、興味がありましたらぜひエントリーしてみてください。

文責:Raicho inc 代表 藤江佑馬

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