【TABIPPOと共同企画!】ゼロカーボンパーク・のりくらサステイナブルツアーでこれからの時代の新しい旅体験を!

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はじめに。サステイナブルツーリズムって何?

サステイナブルブルツーリズムという言葉をよく耳にするようになりました。
このサステイナブルという言葉使わざるを得なくなったことに対して、まずは想像力を働かせてみることが、何?ってことに答えるヒントかもしれません。

サステイナブルとはシンプルに言えば、持続可能であること。

これほどまでにサステイナブル、サステイナブルと言われるようになった背景には、「これまでの人間の観光を含むライフスタイルや経済が、地球や人を含む自然に対して、そして自分たちが住んでいる地域を自ら破壊・破滅・消滅の道を辿ることをしていることが多いのではないか」、と多くの方が気づきはじめたということだと思います。

Photo by Hiroki Yoshida

私たちは、毎日多くの「選択」をして生きています。

いつの間にかその選択で、自分や誰かが不幸になる道を知らず知らずにしている、知らない間に選択させられている。利益の追求、利便性という名の元に、負の循環が生まれてしまっている現状があります。

今、目の前にある綺麗で、美味しそうだったり、可愛かったり、安い商品、効率的なプロセスが、実は誰か(人・動物)を搾取して成り立つ製造過程で作られていたり、環境破壊に繋がっていたり、自然ではなく人工的な添加物まみれであったりします。資本主義とグローバル化で過程が全然見えない、見なくて良い、隠せる世の中になってしまいました。

それらを見えるようにして、良い循環とは何かを考える、その循環を体験する、その循環のプロセスに参加する、自ら良い循環を作ってみるというのがサステイナブルツーリズムなのだとRaicho Inc.は考えています。

そこでRaicho Incでは、
『日々の「選択」に対して、その選択の先にあることに想像力を働かせ、持続可能な社会とは何かを考え、行動に繋げていきたい』と想いの元、旅行や観光の中でサステイナブルな地域作りや地球環境に向けたアクションにつながるような体験ができるツアーを作りました。

サステイナブルツーリズムのポイント
・自然や地域の魅力を思いっきり楽しむこと
・その中で、負の循環に気づいてもらうこと(知ること)
・理想の循環とは何なのかを考えてもらうこと(理解すること)
・そして、理想の循環に向けてできることから一歩行動に踏み出すこと(行動に移すこと)

これを中部山岳国立公園、乗鞍という国立公園の中で初めて認定されたゼロ・カーボンパークというフィールドで「地球環境」と「地域の暮らし」という二つの視点で実施するのが『のりくらサステイナブルツアー』です。

2021年7月15日〜18日の3泊4日、TABIPPOさんと共同企画でサステナブルツーリズムのためのモニターツアー『SUSTAINABLE CAMP in 乗鞍』が開催されました。環境省の令和2年度(補正予算)国立公園・温泉地等での滞在型ツアー・ワーケーション推進事業をRaicho Incで採択を受けて、企画・運営をTABIPPOさんと共に行い、のりくら観光協会・環境省・松本市の協力の元に実施しました。

モニターツアー参加者は次世代のグローバル人材が育つあたらしい大人の学校「POOLO」の受講生25名です。

以下に、ツアーの流れを記載します。

1.オンラインオリエンテーション(事前学習)1週間前
2.現地オリエンテーション(1日目)
3.雷鳥観察と乗鞍岳登山ツアー&地元の方々とのBBQ交流会(2日目)
4.ゼロカーボンパークE-Bikeツアー 地域課題への参画と地産地消 (3日目)
5.未来の旅、持続可能なのりくらを考えるワークショップ(4日目)
6.のりくらサステイナブルツアーの予約

1.オンラインオリエンテーション(事前学習)1週間前

のりくらというフィールドに来る前に、のりくらという場所の魅力や現状についてまず知ってもらうためにオンラインで説明会をしました。それは旅前から当日のりくらに向かう移動の中においても、今回の旅の意味を考えてもらうためです。

これまでどういうストーリーでのりくら高原という地域があるのか(歴史)
乗鞍の魅力や人々の暮らし、訪れる人たちにとって乗鞍という場所はどういう価値があるのか(自然・文化)
そして、現在直面する課題とその課題に対する取り組み(営み)

参加者は様々な想いを馳せて、全国各地、街中から歩み始めます。松本が拠点になる場合が多いですが、その松本から乗鞍という場所に向けて、山道を1時間かけてバスに揺られて登っていく中で、

「なぜ、こんな山奥に人々が暮らしているのか?」

という一つの疑問が自然に浮かんでくることでしょう。

2.現地オリエンテーション (1日目)

山道の先にあった集落乗鞍。バスを降りた瞬間から空気感が異なっていることがわかります。事前に学んだ国立公園という意味、見渡せば、人工的な物は最小限の広がる大自然。高い建物がない、空が広い、広告がない、自然の色、自然の匂い、風が心地よい、何もないけど、心から求めている何かがある。

Photo by Yuichi Yokota

宿で落ち着き、部屋に荷物を置きながら、窓の外の自然にまた癒されます。現地ツアーガイドや今回旅を共にする方と自己紹介をし合い、旅の工程や乗鞍について再確認。そして夜は旅を共にする方々と交流会をしてこの日は移動の疲れを温泉で癒し、これからはじまるツアーにワクワクしながらゆっくりしてもらいます。

「ノイズレスな国立公園『のりくら』をまずは体感」

3.雷鳥観察と乗鞍岳登山ツアー&地元の方とのBBQ交流(2日目)

人も自然の一部であることを感じてもらう1日

国の特別天然記念物であり絶滅危惧種である雷鳥。Raicho Incの名前となっている鳥。神の遣いとも言われる雷鳥は、北アルプスにおいては標高2500m以上高山帯に1年中生息する氷河期の生き残り。世界の同種の鳥の中でも日本が生息域の南限となっています。

この雷鳥が気候変動によって生存が危ぶまれているのは知っている方も多いと思いますが、実際に見たことがある人はとても少ないと思います。乗鞍岳には雷鳥の棲家となるハイマツという低木林が広大にあるため、200羽ほどが比較的安定的に生息しており、2700mまで舗装道路(マイカー規制)があり、登山道の脇に現れることも多く、誰もが雷鳥と出会えるチャンスがあります。

その雷鳥に迫る危機、乗鞍における保護の取り組み、生態を実際に見てもらいながら、知ってもらいます。
多様性が失われていく今、雷鳥の先に待っているのは自分たちの危機なのです。

この日は私たちを待っていたように、何度も雷鳥の親子に遭遇し、参加者からは「本当に珍しい鳥なんですか」という言葉も出るほどでした。愛くるしい雷鳥に出会えると何故かみんな笑顔になる天使です。

Photo by Ryo Aizawa

「雷鳥を守ることは私たちの未来を守ること」

雷鳥を観察した後は、乗鞍岳最高峰である剣ヶ峰を目指します。2700mから3026mまで。参加者のほとんどがそんな標高の高いところまで登山をしたことがありません。苦労して登った先に広がる絶景と達成感。

乗鞍岳最高峰剣ヶ峰  Photo by Satoshi Toda

そして乗鞍岳は霊山であり、近世では修験の山としても利用されてきました。山頂に鳥居や乗鞍本宮の奥宮があることでただのアクティビティーとしての登山だけでない、日本古来の自然に対する畏敬の念を感じてもらいます。

「私たちはこの美しい自然の恵を享受して生きている」

戻ってきてから自由時間を経て、地元の方との交流BBQ
なぜ、のりくらで暮らしを営んでいるのか、どういう暮らしを営んでいるのか、地域課題などを知ってもらいます。BBQに活用するのは、次の日に体験する一の瀬草原再生の時に伐採した薪。のりくらの心の原風景の一の瀬園地という周りには自然しかないフィールドで満天の星空を見ながらのBBQは自然と本音を話せる場になります。

「不便で何もないけれど、地域の人々が大切する豊かな暮らしがある」

4. ゼロカーボンパークE-Bikeツアー 地域課題への参画と地産地消(3日目)

理想の循環に変えていく取り組みを理解する1日

午前中は地域課題に参画し、午後はのりくらの地産地消を体験するツアー。この日は移動を全てE-bikeで行います。のりくら高原は標高1300〜1500mにあり、それぞれを体験する場所は標高差があります。車で移動すれば簡単にいけますが、のりくら高原の風を感じながら、なるべくCO2を排出しない移動を選択します。もちろん普通の自転車でも巡ることもできますし(一般の方には標高差が少しきつい)、歩いて巡ることもできます。

4-1 トレイル整備とCO2排出削減について

朝一はトレイルヘッドに行って、新たな魅力作りとゼロカーボンパークの取り組みを理解します。
乗鞍の魅力はエリアで分けると2つあります。高山帯の「乗鞍岳」と「のりくら高原」です。春から秋にかけてのグリーンシーズンは乗鞍に来る旅行者の目的の大半が乗鞍岳となっています。のりくら高原には、活火山である乗鞍岳(火山活動は活発ではない)が過去の火山活動で形成した美しい自然地形があり、高原内には美しい滝・池・川などが点在しており、そこを歩いて巡るトレイルも存在しています。

過去にのりくらを訪れたことのある方は、乗鞍岳とのりくら高原内を両方楽しむことを知っていますが、初めて来る方の多くは乗鞍岳に行って帰ってしまいます。日帰り旅行者の割合がほとんど。特に若い世代には認知度が低い状況です。

そこで、のりくら観光協会では現在トレイル整備(マウンテンバイクとハイキング)を進めています。Raicho Incは主に歩く方のトレイル整備に関わっています。目的は以下です。

高原内の遊び方や魅力が認知されれば、のりくらの滞在時間・宿泊数が増える。その結果、地域経済が活性化し、滞在日数が増えることは観光全体の観点からCO2の排出削減に繋がる。さらにゼロカーボンパーク内の移動を車から、自転車・歩きにシフトしてCO2を削減する。これにより、滞在の満足度が上がり旅行者はハッピー、連泊による宿泊施設の負担が減り、旅行の平準化につながって、観光事業者がハッピー、観光に伴う自然への負荷も減り、自然がハッピーになる取り組みなのです。

そのために、ジョイフルウォークのりくら JOYFUL WALKS NORIKURA(JWN)は、のりくらの玄関である乗鞍観光センター前に、トレイルヘッドを設置し、ここから高原のスポット巡りを歩いてできることを知ってもらうシンボルを建てました。

これまでわかりづらかった高原内のトレイルにルート名称を付け、看板設置を行っています。さらに、トレイルには一の瀬の草原再生で伐採した白樺の木をチップにして歩道を作っています。そして、マウンテンバイクは のりくら コミュニティ マウンテンバイク トレイル Norikura Comunity Mountain bike Trails(NCMT)は日本の国立公園初となるマウンテンバイクが利用可能なパブリックトレイルを整備しています。

「ゆっくりその地域の魅力や暮らしを味わうような旅をしよう」

4-2 外来種駆除と一の瀬草原再生の取り組みに参加

乗鞍岳とのりくら高原には多種多様な動植物があり、生態系があります。しかし近年、元々乗鞍には存在しなかった繁殖能力の高い外来種の増加が続き、乗鞍の固有種の生態を脅かしている現状があります。
なぜ外来種が増えるのか?
多様性が失われていく先に何が待っているのか?
どうしたら外来種を防げるのか?
を想像してもらいながら、地元住民による外来種駆除作業に参加。1時間ほど作業して駆除した量を計測しました。抜いても抜いても生えてきて生息域を広げていく外来種。地元住民だけではこの環境を維持できないことを知ってもらいます。

一の瀬園地草原再生の物語は以下の記事も参照ください。

草原再生の舞台はのりくらの心の原風景である一の瀬園地。そこで中部山岳国立公園、乗鞍という人々の暮らしと共存した美しい自然景観を維持するための修景伐採した丸太運びを手伝います。人口減少と高齢化が進む乗鞍の地元住民だけが頑張るだけでは、限界が見えてきており、旅行者など様々な人に携わってもらう時期に来ています。

それぞれとても大変な作業ですが、美しい国立公園の中で、自然と直接触れ合い、その自然環境だったり景観を維持するための作業に参画することで、人と自然の関わりについて想像してもらいます。

「自然と共生する暮らしや景観を維持するために、日本の国立公園は地域外の人のサポートや関わりを求めている」

4-3 地産地消の取り組み

お昼から3つのグループに分かれてのりくら高原内の地産地消の取り組みをE-Bikeで巡ります。

グローバル化の中で、私たちが日々食べたり飲んだりするものは、今や世界中で作られた素材で生産されたり、商品そのものをこの山奥でも食べることができます。

きっとその中にも良い循環が生まれている商品などもあると思いますが、負の循環を生み出すようなことにもなっていないか?ということや、地産地消で何が良くなっているのか、大切にしたいことは何かを想像してもらいます。

のりくらのお蕎麦

お昼はのりくら高原の蕎麦畑で栽培された蕎麦粉をメインとして利用しているお蕎麦屋さんの話を聞きます。水車挽きや伝統的な手作業の工程を経て、自分たちが美味しいと思って食べてもらいたい分だけ蕎麦を打って提供しています。

のりくらの伝統的なそば とうじ蕎麦

ばんどこメリーランド

かつての乗鞍のそれぞれの家には牛ややぎがいるのが当たり前でしたが、いつしかそういった暮らしは生活様式や時代の変化と共に消えてしまいました。2013年に市営のいがやスキー場が休止となり、スキー場の跡地を利用してばんどこ地域の地域活性などの目的のために、やぎの放牧が行われるようになりました。自然環境豊かな乗鞍の牧草や水を飲んで育つヤギのミルクは独特の臭みが少なく、とても栄養価の高いものとなっており、地域の宿やGiFT NORiKURA乗鞍Baseで提供されています。

乗鞍の農場(菜園)

乗鞍で生活している方々はほぼ皆さん自分の小さな菜園を持っています。短い夏の間だけの栽培なので農業で生計を立てることは難しいですが、それぞれの宿で提供するものや自宅で食べるものを育てています。高原の厳しい気候の中で育った(寒暖差)作物は甘みが凝縮され、とても美味しい野菜ができたり、高原でしか生育しない「花豆(のりくらではガニ豆と言う)を育てています。そして皆さんほぼ無農薬の有機栽培です。大量に作る必要はないからですね。Raichoにもお世話になっている近所の方々などから
「野菜持ってきたぞー、虫が食いとかあるけどなー」
と言って野菜が届きますが、どれもほんとに美味しいもので、ピーマンも何もつけずにそのまま焼いて芯ごと食べちゃいます。

ツアーの中では、のりくらのブルーベリー園にお邪魔させてもらい、ブルーベリーを摘みながら高原の味覚を楽しみました。GiFT NORiKURAではブルーベリーのジェラートとして提供しています。

乗鞍ホップ

のりくらの新たな魅力を作るために、地元の若者が新しく立ち上げたホップ農園。夢はのりくら産のホップでクラフトビールが飲めるようにすることです。乗鞍はホップ栽培に適した土地と言われています。地元愛を元に若い人をのりくらに呼び込んで、地域を発展させていきたいという想いをツアーの中で聞いてもらいました。

ホップ農場

GiFT NORiKURA Gelato & Cafe

サステイナブルアクションカフェとして2019年の7月にオープン。Going Zero Waste、地産地消、売上の3%を地域の環境整備に活用という3つのスローガンを掲げて店舗運営し、2021年に乗鞍高原が国立公園の中のゼロカーボンパーク第一号に認定を受けたことで、地域のゼロカーボンの取り組みなどの発信拠点にもなっています。

E-Bikeツアーで訪れた生産者の素材が商品として提供されている仕組み、地域内経済的循環などを説明しながら、乗鞍の恵を味わってもらいました。

地産地消のGiFT NORiKURAの商品 Photo by Yuichi Yokota

なお、E-Bikeツアーの中では、車でないとなかなか訪れない乗鞍のパワースポット、千間淵にも訪れました。

千間淵

「食材一つ一つにある生産工程から口にするまでのストーリーや背景を理解し、日々の選択に想像力を持とう」

5. 未来の旅、持続可能なのりくらを考えるワークショップ(4日目)

最終日はのりくらサステナブルツアーの総括。旅行者目線で、持続可能なのりくら地域を作っていくために、
・地域としてどのような取り組みをしていけば良いのか
・どんな体験があったら良いのか
・旅行者としてどう関わっていけば良いのか
などをPOOLOのメンバーがグループに分かれ、ディスカッションしてのりくら観光協会に提案頂きました。

アウトプットをすることで、地域の住民の知財になり、参加者は日々の行動に移す変化が生まれます。

今回のツアーに参加したPOOLOのメンバーは7月にツアーに参加して、10月末までにすでに3度も訪問している方もいて多くの方が再訪しています。

「サステイナブルなのりくら地域」という視点では、移住者を増やしていくことはもちろん一つの目的ですが、このツアーを通じて地域の理解が深まり、地域に恋をする若者が出てきて、まずは継続的にのりくらと関わってもらえる関係を作っていくことができると思っています。

「サステイナブルな地球環境」という意味では、参加者が日々の暮らしの中での選択に想像力を働かせ、できるだけ良い循環が生まれるような選択をするような変化が生まれます。こののりくらサステイナブルツアーを通じて、そう行った仲間をどんどん増やしていけたら良いと思っています。

モニターツアー参加者のコメントを少し紹介します。

6. 「のりくらサステイナブルツアー」のご予約

春夏秋冬、ゼロカーボンパークでその時に学べる・体験できることベースに地域事業者と連携して企画しており、企業研修・グループ研修・学生のゼミ合宿・個人団体などに向けて、それぞれのスケジュールや要望に合わせて2泊3日以上(1泊2日では行っていません)でカスタマイズして提供いたします。ご相談などはお気軽に以下のContactフォームからお待ちしております。他のエリアにはない、サステナブルツーリズムの先進地の取り組みをぜひ体験してみてください。

このようにRaicho Incでは日々の「選択」に対して、その選択の先にあることに想像力を働かせてみることをツアーコンセプトに、ゼロカーボンパーク乗鞍というフィールドで、地域の暮らしと地球環境の持続可能を考える「のりくらサステイナブルツアー」を運営しています。

文章:代表 藤江 佑馬

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