人口減少に悩む田舎に必要な4つの視点

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代表の藤江です。
2019年のGiFT NORiKURAのオープンから今に至る3年半くらい、どうしたらこの人口減少などの数々の課題を抱える乗鞍が50年先、100年先も地域の暮らしも自然も豊かな未来を描けるのかずっと考えている。乗鞍を愛する一人として。

特にコロナ禍はさらにそれを考えざるを得ない環境になったので、トライアンドエラーの繰り返しで実験をたくさんしていた。そんな中、のりくら高原ミライズという地域ビジョンができ、様々な人の尽力でゼロカーボンパーク第1号や脱炭素先行地域になり、とてつもない追い風になっている。

ただ、その追い風を活かせるのかどうなのかは、ほんと地域住民の力にかかっている。

そんなトライアンドエラーの中から自分なりに見えてきたことがあるので、ここでシェアしたい。

1.人口は減るし、税収も減り公共サービスは減る前提に立つ

この5年で乗鞍の人口は600→500人という急激な人口減少の危機に瀕している。事業者はどんどん減り、地域の学校の存続も危うい状況。日本全体を見てもこの傾向は別に乗鞍だけではなく、全国同じ状況。全体を見れば、日本全国で人の奪い合いが始まる。移住者を増やす施策はもちろんするけれど、一方で300人、400人という未来を前提に物事を考える必要性を考える段階。僕的には、こちらを考えていた方が結果的に、若い人の移住は増える気がする。その理由は後で述べる。

さらに、人口が減れば税収は減る。松本市の予算が増える可能性があるとすれば、人口が減っても経済活動がそれを上回るくらいでなければならない。それはそれでやっていくのだろうけど、まあ難しいよね。じゃあ増税しますか。それはNGなわけじゃないですか。そんな他人任せで、いつまでも公共サービスに淡い期待を抱いて、やってくれなくて勝手に期待を裏切られたと行政に要望を繰り返すだけで、自らは頭使わない道を選ぶのか、公共サービスや行政の積極的な支援を充てにするのではなく、自分たちが自らの手で地域の暮らしや環境を維持するような事業を生み出すのか、って話。

僕は圧倒的に後者の考え。

時代は変わった。

昭和・平成とは違う。今は令和。社会が右肩上がりの頃や、先のことはあまり考えずに今の暮らしを良くするという考えではもう未来はない。先人たちが乗鞍を自らの手で切り開いてきたように、今地域住民は自らの頭と力で未来を切り開く時。

2.既存の改善では限界、創造的破壊を。

カーボンニュートラルを2050年に達成するために、先行地域である乗鞍は2030年にそれを達成しているモデル地域を目指している。ゲストハウス雷鳥は、身の丈にあった背伸びの中で、少しずつ少しずつ、改善を繰り返し、事業も成長させて今に至る。一方で、その改善・改装で限界を感じているところがある。それが脱炭素。あるところまではできるが、それ以上は限界だなと。今年太陽光発電を入れ、薪ストーブを増やし、全部屋エアコンに切り替え、これから断熱改修を予定しているが、それでも灯油をゼロにできない建築構造。できたとしても莫大な費用がかかって、それならぶっ潰してゼロから作り上げた方が費用がかからないし、良いものができるという確信に至った。

昭和・平成の価値観で作られたものは建物のみならず、経済システムもそうですが、基本的にこの先100年とは合わないんですよ。大量生産大量消費で後先考えずにやってきたことばかりですから。それが今様々な課題を引き起こしている。

もちろん、やれる範囲で最大限既存を改善するところもあるとは思うけど、本当にカーボンニュートラルを達成するためには、創造的破壊をしていかないと達成できない、というのが良くわかった。言ってしまえば、多くがバブル期に建てられた乗鞍の建物を全て壊して新しい建物にし、新しい風景作るくらいしても良いってことです。なお、乗鞍にはほぼないけど古民家は一部別。

そんなのお金がないから無理っていう指摘は、思考停止の反論なんで受け付けません。それをどうするかって本気で考えて考えて考えてからにしませんか。誰も答え持ってないんですよ。でも答えを導いていきましょう。

3.関係人口・交流人口創出の場作り

国立公園の乗鞍の一の瀬の草原再生活動などをどうしようかっていうのを同時にこの3年ずっと考えて、地域の人たちも頑張っているし、Raichoもいろんなモニターツアーやって、トライアンドエラーしてきた。そこで改めわかったのが人口が減る中では地域住民だけでは限界で、みんなでやろってことなんですよね。みんなっていうのは、乗鞍の地域住民関係なく、乗鞍が好きな人みんなでっていうこと。

自然の恵があるからこそ、我々は生きることができるわけで、僕は移住して8年、ほんとにそのことがよくわかった。都会だとそれがわかりにくい。でも都会の人たちだって、みんな自然の恵があるからこそ生きていける。デジタルばかりに向き合うのではなく、少しは自然と向き合う時間を作って、その恵を愛しむことをした方が、人生もハッピーになる。

そういう関わり代のある場を乗鞍は用意する必要があるんだなって思った。関わりたい人もたくさんいることもわかった。そうすれば、人口が300人になっても乗鞍の自然は保たれるし、乗鞍で活動する人はむしろ今より増えるんじゃないですかね。そして、関わりが増えていく=関係する人が増える、交流人口が増えると、自然と移住したい人が出てくる。こんな視点の循環を作っていきたいなって思います。すでに手は打ち始めてます。

白樺の間伐材を使った朽ちていくベンチ、kimamベンチ制作イベントに、地域で生まれた人、移住者、別地域在住の方が集まった

4.事業を作れる人材を育成する

ここが地方は弱い。現代の都会に人材が集まっちゃってますからね。地方はバブルの右肩上がり時代の思考からアップデートされてない経営者が多い。全く筋肉が違うので、筋肉を作り直さないと今の時代に合う事業展開はできない。地方は圧倒的にプレイヤーが足らないっていうのがまさにそれです。

そんな中でも50年後を見据える若い人材の育成が特に重要だなと思います。今の20代〜40代ですね。この年代は新しい時代の価値観は備わっているのかもしれないが、教育のアップデートの遅れによって、今の時代を生き抜く筋力は備わっていないんですよね。答えのない課題、もしくは自ら課題を見つけたり、作り出して、答えを導くプロセスです。情報の発達によって、安易に答えっぽいのを簡単に探せてしまうようになってしまった弊害でもあります。そして失敗を恐る。

誰かの意見や、誰かのオススメではなくて、自ら頭を捻ってトライアンドエラーを繰り返して、信じた答えを導き出していく力を備えなくてはなりません。僕は幸いなことに、都会のベンチャー企業に10年いて、相当鍛えて頂いたので、相対的に見れば筋肉はある方だと思います。でも僕なんか大したことないので、さっさと越えて欲しいんでよね。

ということで、僕も様々な人のお陰で今があるので、今度は僕がトレーナーのように若い人の筋肉をつけるためのサポートをしたいと思っています。

最後に、乗鞍はポテンシャル半端ないんですよ。田舎の中でも圧倒的に恵まれた場所であって地力がある、ここが未来を描けないなら、日本全国の田舎は未来を描けないと思います。

1人のプレイヤーとして、Raichoのみんなや仲間たちと地域や様々な人を巻き込んで来年もワクワクする新しいプロジェクトをいくつか企んでます。田舎の課題って実はめっちゃ楽しいですよね。未開の地を歩く冒険のような感じだからです。ゲストハウス雷鳥からRaicho Incとなり、基盤となる宿事業・地域循環型カフェ、インバウンド向けツアーをさらに成長安定させ、地域作り事業や国立公園のプロデュース事業に力を入れていく予定です。

もしそんな僕らの事業に興味があったら、仲間になりませんか?
Raicho Incはいつでも仲間を募集してます。

応募はこちらから

文章:Raicho Inc 代表 藤江佑馬

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