6088mという頂 〜ボリビア ワイナポトシ〜

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代表の藤江です。
2023年の南米の旅日誌2話目(全2話)。
第1話はこちら↓

2023年の休暇で、ペルーのワラスを訪れ、前半のサンタクルスのトレイルを歩いてだいぶ満足して、後半ワイワッシュに行かなくなったので、何をしようかなと考えていた。はじめは、旅のはじめはペルーではワラスだけでなくて、レインボーマウンテンとかボリビアにも行ってみたいと思っていたが、ワラスに着いた時はトレイルがたくさんあり、もうこのままワラスでずっと楽しもうと思っていた。

しかし、心境はどんどん変わるもので、サンタクルスを歩いてしまって、満足感が出てしまっていて、旅なんてそんなもんで、旅程をはじめにバシッと決めるなんて僕はできない笑

サンタクルスを歩いていて、たくさんのピークを見ているうちに、どこかの山にピークハントしたい気持ちになっていた。ワラス周辺でももちろんサンタクルズを歩いて見た山々もやろうと思えばピークハントできなくはないが、ここではないなという気持ちがあり、当初のボリビアのラパスの街に行ってみたい気持ちが出てきて、ラパス周辺で探すことにした。

そしたら、ネットのブログで6000m級で一番登りやすい山、ワイナポトシ、という記事を2.3発見した。1泊2日か2泊3日でいける。

それから交通手段を探しまくり、長距離バスで行くことも検討したが、時間がかかりすぎるのと、移動疲れしそうだな、何よりボリビア滞在がめちゃ短くなると思い、リマからお金を払ってでもラパスまで飛行機で行くことを決意。それでもなるべく安いチケットを探し、これなら良いかというのを見つけたが、手荷物預かりが値段に含まれておらず、まぁそんなにしないだろと思ってあまり調べずナメていたら、リマとラパス間で追加料金往復3万くらい取られることになり一度凹んだ。結局、リマ-ラパス間はクスコトランジットで往復7万。

ちなみに東京-リマ間は2回トランジットで40時間コース(通常1回トランジットの20時間で35万くらい)だけど、ユナイテッド航空の往復で17万。ラパスに行く時には、追加料金やべぇーと思っていたけど、終わってみれば、それくらいお金を払う体験をして帰りは満足感に満ち溢れていた。

そんなこんなで、11月25日夕方にラパスに到着して、28日午後にには、12月1日の帰国に向けてラパスを出ないとならない日程。なので僕には丸1日使えるのは26日、27日の2日間のみ。流石に単独で行くことは毛頭ないんだけど、ワイナポトシのガイドツアーは1泊2日と2泊3日があり、通常みな高度順応やアイゼン、ピッケルの冬季登攀訓練も含めて2泊3日を選ぶ。後でも述べるが、欧米のツアー参加者はほとんどか雪山初心者。僕は日本で少しは経験があるし、すでにペルーである程度高度順応できてるだろうから、初めから1泊2日のツアーを探した。

ホテルはツアー会社集結しているサガルガナ通りに取り、若干フライトが遅れ、17時到着と同時にサガルガナ通りのツアー会社を巡る。それぞれのお店の前に看板があり、ワイナポトシのツアーが明日から催行されるという旨の貼り紙をいくつかみかけるが、何件かあっても2泊3日だった。ちなみにペルーよりボリビアの方が英語が通じる。

めちゃわかりやすいツアー会社

そして、ようやく1泊2日を催行している会社を見つけた。

凄いよね。前日の18時に6000m級の山に行くツアーにサクッと予約できてしまうという。道具レンタル、ラパスとワイナポトシBCまでの往復送迎、山小屋宿泊と食事、ガイド料込みで13000円くらいっすよ。

僕らからすればかなり適当なツアー会社だったので(ボリビアでは普通なのかもしれないが)、道具はボロボロ、ツアーのお金払って道具のフィティングやっただけで、経験とか個人情報とか何も聞かれず、ただ、集合時間と持ち物、名前とWhat appを交換しただけ笑

歯が丸くなっているアイゼン

流石に不安になって、予約バウチャーだけでも発行してくれ、と頼んだ。

グループツアーだったので、何人参加するんだ?って聞いたら、2、3人だよと。気の良い、性格良さそうな兄ちゃんが受付していたので、彼を信じることにした。

その後、急いで夜飯を食べ、水や行動食を購入し、戻ってくる27日のホテルをそのまま同じホテルで予約し(荷物も預けられるので)、速攻で寝た。

ワイナポトシ1日目

8:30集合と若干遅めだったので、ホテルの朝食も食べて時間に余裕を持って準備した。ツアー会社はホテルから歩いて30秒ほどのところにあり、集合時間に着くと、僕しかいない。他の人は?と聞くと、あなた1人だ、と昨日の兄ちゃんが言う笑

ラッキーというのと同時に若干不安になる。送迎車もボロボロの車で、ドライバーも人相悪そう。

ペルーのワラスで使っていたMAPアプリがかなり使えていたので、ボリビアでも活用。それぞれのエリアの地図をダウンロードしていればオフラインでも使えるため、送迎車がワイナポトシBC方面に向かっているかチェックしながら行った。問題なかった。

昼にはワイナポトシBC 標高4800mに到着。そこでガイドのジミーと対面。まずはお昼をそこで食べて、持ち物の確認と、レンタル品のパッキングをした。水を2.5リットル、防寒具も万全を期すため、分厚いアウターをレンタル(結局自分の持ってきたノースのシェルしか使わなかったが)し、bbpのバックパックはパンパンになった。

そして12時過ぎにはワイナポトシBCから標高5200mのハイキャンプまでジミーと向かった。1時間40分ほどで到着。それでも今回の旅の中で一番標高の高いところに来ており、ザックも13kgくらいあって重く、結構辛かった。

ハイキャンプは3つ小屋があり、ツアー会社で異なる場所に泊まる。どれも簡易的な感じで、ボロボロのマットだけある二段ベットに所狭しと寝る感じ。寝袋は持参かレンタル。

ワイナポトシハイキャンプの山小屋

山小屋に到着すると、なんとそこには日本人のおじさんがガイドと一緒にいるではないですか。このたかさん65歳、世界中の山にチャレンジしていて、アコンカグアもガイドなしで一人で登っている強者でした。今回は同じツアー会社のプライベートツアーに申し込んでいました。たかさんは2泊3日のツアーに参加されており、たかさんから2泊3日ツアーは昨日たくさん人がいたからこの小屋にこれから沢山来ると言われていた。夕方になり、欧米人の数組のグループ(みんな20代、30代の若者で雪山ほぼ初心者)がやってきて山小屋は満室になった。


その後、夕飯を食べ、ガイドのジミーからブリーフィングがあり、明日はたかさんと一緒の時間で、夜の22時起床、23時出発して山頂アタックすることになった。

山小屋で出た食事

5200mで寝るの初めてだったが、寝ている姿勢を取っていると呼吸が苦しく、なかなか寝付けなかった。ほとんど寝ずに出発時刻を迎えた。そして外はシンシンと雪が降っている。幸い風がほとんどなかったのでそこまで寒さは感じなかった。

まずはたかさんとたかさんのガイドのハーマンと僕とジミーの4人パーティーで真っ暗闇を歩き出す。歩き出して10分のところから雪面が始まり、アイゼンを装着し、ガイドとロープで繋がれた。山頂は6088mなのでこの日、900m登って日の出を迎える予定であった。登っている時は真っ暗と雪でほとんど周囲が見えなかった。

途中からクレバスが出ていきて、それを注意深く渡っていく。渡ると言ってもほぼジャンプのような感じだった。ジャンプすると呼吸が一気に乱れるので、その後歩けなくなる。またクレバスと一緒に雪と氷の壁のようなところもあり、ピッケルとアイゼンで固定しながら登らなければならないところもあり、結構緊張した。ダブルアックスの方がいいじゃないかと思われるところもある。

半分くらいまではたかさんと一緒に行ったが、たかさんのスピードが遅れ出したので、分かれていくことになった。正直僕も苦しくて、たかさんのスピードが心地良かったので、別に分かれてなくても良いと思っていたのだが。そして後には3つの山小屋から30名くらいがアタックを目指して登っていた。
途中たかさんと、なんで僕らこんな苦しいことやっているんですかね?って話していて、

たかさんは、
「人生やりたい、って思ったことに素直にならないとね。いつ死ぬかわからなんし、死ぬ時あれやっとけば良かった、なんて思いたくない、だからいつ死んでも良いように、自分はやりたいことをやってきたと思いたい」

と仰って、まさにそれだよな。って思った。
やりたいことにただ素直の行動しているだけ。まあそれが難しいんですけどね。それをする人ってなんなんだろってたまに思うんだけど、これも訓練が必要な気がする。子供の頃に色々好きにやって、失敗してもそれを暖かく見守ってくれてたり、チャレンジして何か得た時にとても褒められた経験とかね。大人になってからもそう。僕は前職でも沢山のことにチャレンジさせてもらって、それを上司や会社の人たちがサポートや応援をしてくれて、結果を出すという経験を積んできた。だからどんどん自分に素直に行動できる勇気や力が付いたのかなと。当時もそう思っていたが、やはり今になってさらにそれを感じる。

そうやって、周囲の恵まれた環境があって今の自分がいる。だから今度は僕が周りの人たちに、そういった、後に自分は恵まれていたなと思ってもらえるような環境を提供したいと思うんだよね。

話は戻って、後で山小屋に帰ってきてわかったが、欧米のグループのうち何人かは高山病で途中で引き返したりハイキャンプから出発できないものもいた。僕も5500mを越えてくると、段々と休憩時間が増えてくる。特に最後の100mはかなりの急登で30歩歩いては休憩のような形で進んだ。

そして、辺りが明るくなってきた5:30にワイナポトシ6088mの頂に立った。この日アタックしたパーティーの中では一番だった。

ワイナポトシ6088m山頂
ガイドのジミーと登頂時の写真

今までで一番苦しい山行だった。最後30歩ずつでも止まってしまう自分の身体。吐くまでは行かなかったけれど気持ち悪かった。山頂の自分の写真も唇真っ青。

雪で景色は見れなかったけど、達成感に満ちていた。憧れの世界が現実になったからだ。やってみたいなとはずっと思っていたけど、まさか自分が6000mに立てるとは。全くイメージしたなかったわけではないけれど、ほんと夢のような世界だ。あ、もしかしたら、僕も次は7000mとかチャレンジできるかもな、なんて思えてしまうから恐ろしい笑

僕が写真を撮った後、続々と後続のパーティーが登ってきた。みんな僕と同じくほんと小さな一歩を少しずつ運んでやってくる。そして山頂に到着して皆で抱き合って喜ぶ姿は、本当に美しかった。

下山を開始して、山頂までもう少しのところで山頂を目指しているたかさんに出会えた。何度も引き返そうと思ってガイドに帰りたいと伝えたらしいが、ガイドのハーマンが励まして小さな一歩を継続して登ってきたらしい。辛そうなんだけど、とても嬉しそうだった。

下山中は少し天気が良くなり、一瞬ワイナポトシ山頂付近だけ青空も見えた。暗かったのと雪が降っていたのでどういう山容が全くわからなかったけど、改めて見るとすごい世界を登っていたのだなと。クレバスも改めて凄くてこんなところ、暗いから登れたなと思った。

ハイキャンプの山小屋に到着する頃にはまた雪が降り出した。行きは6時間半かかったのが帰りは2時間ちょっとで5200mにあるハイキャンプに戻った。2時間くらい休憩して、たかさんがハイキャンプまで下山するまで待った。たかさんとハーマンも無事に登頂して帰ってきて検討を讃えあった。

その後、ハイキャンプからジミーとBCまで1時間ちょっとで降る。ジミーは山小屋のガスタンクを背負いながら降る。そしてこのジミー午後は次の2泊3日の初日のアイゼンとアイスクライミングの訓練をして、次の日はまたワイナポトシのツアーをやるという。ハーマンもそうだが週3回登頂することもあるよ、とのこと。凄すぎて、あ、自分ももっと働かないとなと思ったのと、冬は僕らもスノーシューツアーを開催しているので、ツアーに参加する人たちを喜ばせないとなと思ったのでした。

今回のペルー、ボリビアの旅も良い時間を過ごし、学びの多い旅でした。
第1話のサンタクルスの旅は以下を参照ください。

Raicho incではスタッフを募集してます。興味ありましたら以下を参照ください。

代表 藤江

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