厳しい環境に身を置く

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代表の藤江です。
9月23日に扇沢から室堂に入り、立山、劔、薬師、雲の平、双六、槍ヶ岳、上高地と5泊6日で縦走してきました。登りトータル8000m、下り8800mで約80kmの中部山岳国立公園縦走の旅です。

8月のお盆明けくらいにギックリ腰からのヘルニアになり、その後も腰の状態があまり良くなかったので、友人と一緒の行程だった立山と劔だけで帰ることも想定していましたが、歩いている方が調子が良く、後半の天気も心配がありましたが、何とか全行程を歩きました。

前半から中盤までの立山・劔・薬師・雲の平までは念願の旅。
ずーっと行きたいと思ってタイミングが悪かったり、我慢してましたがようやく行けました。

僕は19歳の大学2年生で初めて剱岳・薬師岳・雲の平という存在を知り、そこから憧れていたので21年越しです笑。乗鞍に来てから、事業を最優先にしつつ、海外も楽しみながら少しずつ少しずつ、北アルプスで行きたいところのリストを叶えていました。そんな中、うちのスタッフたちは僕が20年も憧れていたことをスイスイとこの1,2年で実行していき、僕を越えていきます。

多少ジェラシーもあったので、少し無理をして俺も行ってやる!って気持ちもあったのは事実ですが、僕は彼らを見ていてとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

生きがいの一つとして、生を繋いでいくこと、があるかと思います。
僕には子供はいませんが、それでも、長い時間深く関わった人たちが、少し影響されて可能性を広げて行く姿を見ることは、大きな喜びであり、僕の生きがいです。僕が見ることのできない世界を今後彼らが見てくれるのではないか、僕が理想としている世界を彼らが繋いで現実にしていく気がしているので、どんどん僕を越して世界を広げてって欲しいと思うのです。

GWに大学の研究室の先輩が乗鞍に来てくれて、一言僕に言いました

「ゆうま、厳しい環境に常に身を置き続けろよ」

ですよねと。

そうなんです。僕自身も成長を続け、成長過程の彼らに僕自身が可能性を広げていく姿をまだまだ見せて行かなければならない。そうしないと彼らに難題を課す資格はないと思うのです。そのためには、安定だったり、今の自分や状態に満足せず、やったことがないこと、できないこと、やってみたいことにチャレンジしていく。

「迷ったら厳しい道を選べ」って言葉も同時に頭に浮かびます。

ただ、自分の背伸びしても届かない道を選ぶと、一歩間違えれば死にも至ります。慎重に一歩ずつ、自分の力量をきちんと客観視した上で、厳しい道を選択する。今回も薬師岳から風雨が激しく、特に稜線や山頂付近は突風が吹いたり、滑って踏み外したらそのまま滑落して死んでしまうかもしれない状況。

ただ、僕は過去に西鎌尾根を同じく風雨の時に歩いた経験があり、危険箇所や状況については大体イメージできていた。もちろん晴れた景色を見れることはベストではあり、リスク回避の最善は行かないこと。そして薬師岳の後にそのままエスケープして折立に下山することも考えられた。双六の後に新穂高に下山することもできた。

しかし、山(人生)では何が起こるかわからない。だから天候が悪い時に、どう対処していくか、道具は何が必要か、どう体力を維持していくか、という経験も自分には必要だなと思い、背伸びすれば行ける状況だと判断し、当初の行程で上高地まで行くことにした。

一方、当初計画では最悪の天候が見込まれる28日に西鎌尾根を通過する予定だったが、高天原温泉をスキップし、その最悪よリはマシである27日に通過する行程に変更した。
山行は決断の連続(特に単独の場合)。
常に晴れているわけではない。状況が悪い時こそ、決断力が求められる。

これは人生も事業も全て同じ。

僕は今回、低体温のリスクについて経験を積んだ。

雲の平から双六までの間ですでに全身ビショビショ。レインジャケットもパンツもそもそも防水効果がかなり低下していた。動いてないと身体が寒くて震えた。あー、これは迷ったり何かあって停滞でもしたら低体温で死ぬな、と思い、双六で休憩時に下着も全て着替えた。それとしっかり食べた。

お陰で西鎌尾根の前半は身体は暖かい状態で通過することができた。しかし、後半は稜線を吹き抜ける風が強く、雨もかなり降っていて、またビショビショになった。動いてても寒い状態。あの時着替えてなかったら、体力は奪われ続けて、最後の槍ヶ岳への急登で体力が持たなかった可能性もある。

厳しい状況の時に、一つ一つ冷静に状況を判断し、リスクを回避しながら諦めずにどう目的を達成していくか。これはやはり経験を積まないとできないこと。

現代の日本人は、多くの人がなんでも簡単に手に入ってしまう、なんでも誰かやAIの答えっぽいものが出てくる便利な世の中で生きている。しかし、それを満たしても幸福度が上がるとは言えない。

自然環境もそうですが、厳しい環境で育つ花、生き物が放つ生命力や生きる姿はとても美しい。

人間も同じだと思っています。

自立して、決断をして、選択をして、苦戦しながらも何か理想を目指していく姿はとても美しいなと僕は思うのです。あくまでも僕はです。

Raicho incの社員になるためには昔から条件があります。

それは、1人で標高2000m以上の山岳キャンプ場でテント泊をして帰って来れるスキルです。ただこれはスタッフになった後、1年以内に実施する意向がある、でも良いです。その過程には、1人で状況判断、責任、決断があり、それができる自立した人を求めているからです。

自己満の世界を越えて、社会をより良くしていくための行動は、そう簡単なものではありません。そうやって自ら「厳しい環境に身を置ける人」が社会をより良い方向に導く人になってくれるのではないかと思うのです。僕はそういう仲間と出会い、共に歩みたいと思っています。

Raicho incでは社員を募集しています。我こそは、という方ぜひ以下のブログと募集要項をご覧ください。ご応募お待ちしております。

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