上高地から日本海への旅

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こんにちは。
Raicho Incの拓郎です。

Raicho Incでは乗鞍ヒルクライムが終わった後の8月末から9月中旬にかけて、スタッフが順番に約10日間の夏季休暇をとれる制度があります。今回は2023年の夏季休暇をどのように過ごしたのかをご紹介したいと思います。
2023年、私の夏季休暇は休暇は8/28-9/7の11日間でした。

過去2年間の夏季休暇では2年間とも大好きな北海道に行き、長期縦走やキャンプ、カヌーなどをして楽しんでいましたが、今回は自分が暮らす身近な山域である北アルプスをできるだけ長く歩きたいと思い、上高地から日本海の親不知海岸まで歩くことにしました。
「山から海へ」。
繋がっているけれど、山の近くに住んでいるとイメージしづらいこの関係性。それを自分の足で歩いて確かめたいという思いもありました。
上高地から親不知海岸までは約125km。標高も基本的に2500m以上を歩き続けるコースとなります。

上高地-親不知の軌跡
距離と高度差

9/5,6に別の撮影の仕事があったため、8/28に出発し遅くとも9/4には下山する、8日間の山行を予定していました。
不安点としては
・天候悪化の際のエスケープルートの確保
・水不足により飲み水をどこで確保できるか
・8日間歩き続くことができる体力があるか
・荷物が重い中での3大キレットの通過
がありました。
そのため事前にルートの確認、各山小屋や登山道、水場の確認を行ったほか、普段から山は歩いていましたが1ヶ月前からランニングも始めました。

装備は以下の通りです。
⚫️バックパック
・Hyperlite Mountain Gear / Porter3400 (55L)
・Hyperlite Mountain Gear / Porter Stuff Pocket
⚫️シェルター
・Six Moon Designs / Lunar Solo
⚫️スリーピングシステム
・motn-bell / ドライシームレス ダウンハガー900 #3
・EVERNEW / Trail mat 100
⚫️行動着&シューズ
・OMM / Core Vest
・山と道 / 5 Pocket Shorts Lite
・HIKER TRASH 
・山と道 / Mesh Cap
・Bring / Wunderwear 70/30
・Altra / Lone Peak 6
⚫️レインウェア
・山と道 / UL All-weather Hoody
・山と道 / UL All-weather Pants
⚫️着替え
・山と道 / 100% Merino Light Sleeveless
・山と道 / 100% Merino Light Hoody
・AXESQUIN 凌 / ナツミチ
・山と道 / Light Alpha Vest/Jacket
・HIKER TRASH 
・motn-bell /スーパーメリノウール L.W. タイツ
・motn-bell /スーパーメリノウール L.W. トランクス
⚫️クッカー
・EVERNEW / Ti Mug pot 500
・Primus / P-115 フェムトストーブ
・Cnoc / Vesica 1L
・Cnoc / Vecto 2L×2
⚫️その他
・ヘッドライト
・ヘルメット
・トレッキングポール×1
・Raicho オリジナル手ぬぐい×3
・Six Moon Designs / Silver Shadow Carbon
・ファーストエイド
⚫️カメラ&電子機器
・Sony / α7Ⅳ
・CONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
・カメラ予備バッテリー×2
・Anker / Power Core 20000mA
⚫️食料
1週間想定で約21食分+行動食
基本包装はなくしジップロックやジップパックに詰め替え。
食料の重さは約4kg。
・The Small Twist
・カップラーメン
・カレーメシ
・ご飯+お茶漬けの素
・カロリーメイト
・トレイルミックス
・ビーフジャーキー
・塩あめ
・麦茶の素

準備した食料の一部。ジップパックに入れて小分けしています。

出発時の食料+水1Lを含めたパックウェイトは約13kg。
北アルプス全体で水不足だったため水の確保を最優先し、ウォーターキャリーを多めに用意。バックパック内にも水を運べるスペースを作ることも優先しました。3日目(三俣-船窪)のスタート時には1日中水が手に入らない可能性もあったため5L担ぐことに。
行動中は気温が高かったためほぼノースリーブと短パン。
朝の出発時のみジャケットやレインパンツを履いて行動。Core Vestは行動しながらの乾きがよく、汗冷えや背中の不快感がほとんどなく使用することができた。
着替えは就寝時と下山後の着用を想定して自分の中では最小限に。
運良くほぼ毎日天気が良かったのですが、直射日光が強すぎることも。そんな時に雨対策で持っていったSixmoon Designsの傘が日傘としても役に立ちました。

食事は朝はお茶漬け、昼は山小屋でとるか行動食、夜にSmall Twistやカップ麺などを予定していました。ただ朝は出発も早くあまり食欲がなかったため、行動食で済ませることが多く、結果お茶漬けがかなり余ってしまいました。
行動時間や距離などによって自分がどのくらいの食事が必要なのかを他の山行の中で実験することでより最適化できると感じました。

7日間の詳細

実際に歩いていたときにつけていた日記を元に全日程を振り返ってみます。

1日目 上高地-南岳

8/28 行動時間10時間 距離10.7km

早朝の上高地

出発の朝、上高地を6時に出発。この日は北穂高のテン場に泊まるか南岳まで行ってしまうか迷っていたため、歩きながら体の調子と相談して決めることに。
順調に進み岳沢小屋を通過し紀美子平に9時前に到着。前穂高岳には同じ2023年8月に登頂していたため今回はパスして奥穂高岳へ。
紀美子平から奥穂高へ続く吊り尾根は景色も格別。いつもは上高地から見上げている空に掛かるような尾根を今自分が歩いていることが不思議に感じる。
体の調子も良いためこの日のうちに南岳へ行き、2日目の工程を楽にすることに決める。

大キレット

穂高岳山荘で昼食をとった後、涸沢岳-北穂高岳と北穂高-南岳の大キレットがこの旅の中でも一二を争う核心部。普段の山行よりも荷物が重いため慎重に梯子や岩場を越えていく。目の前の難所を一つ一つ丁寧に、自分を勇気づけながら。緊張感を保ちながら集中して進んでいった。
大キレットでは小雨が降ってきたが無事に突破。
南岳にテント場に到着してテントの中でビールを飲みながら夕陽を横目に爆睡。
獲得標高もこの度の中で一番多かった激しい1日目が終わる。

南岳小屋


2日目 南岳-三俣山荘

8/29 行動時間10時間 距離14.9km

1日目が相当疲れたのか12時間以上寝て朝6時に起床。2日目は三俣山荘に宿泊で時間にゆとりがあるためゆっくりと進む予定。またこの日は山小屋スタッフの友人などに会える楽しみも。
5月にRaichoで働いてくれて夏は双六小屋で働き、この冬もRaichoでバリバリ働いてくれているなっちゃん。松本のタビシロという宿の元スタッフで、三俣山荘で勤務中だったニキさん、そして富山の折立から入山し雲ノ平を経て三俣山荘で会う予定の同僚うっちー。
2日目は好天に恵まれて、晴天の中まずは槍ヶ岳へ。

槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳

槍ヶ岳は北アルプスを代表する憧れの山。今回来るのは5度目だったけれど年に一度は登りに行きたくなるような魅力がある。東鎌尾根、西鎌尾根など様々な登山道が交錯する場所でもあり、多くの人がこの山に集まる。
槍ヶ岳に登頂した後は西鎌尾根を超えて双六小屋へ。双六小屋ではなっちゃんに会い、双六小屋のケーキとコーヒーをいただきながら互いの近況報告や水の情報などをもらった。その後は2日目の目的地である三俣山荘を目指す。双六小屋付近ではRaichoの業務でもお世話になっている環境省職員やLeave No Traceの研修で一緒になったガイドさんに会うなど、世間というか山は意外と狭いなと感じる。
双六小屋から三俣山荘までの間、有名な天空の滑走路はちょうど雲がかかり槍ヶ岳は見えず、また次回の楽しみに取っておく事に。双六岳、三俣蓮華岳を越えると鷲羽岳が目の前に大きく姿を現した。その麓にあるのが三俣山荘。三俣山荘ではうっちーとも無事合流し、ニキさんにも挨拶することができた。
うっちーと互いの山行や今後の予定を話したりしているとあっという間に夜に。一緒に見た日の入り前の槍ヶ岳と満月が綺麗で暗くなるまで眺めていた。

三俣山荘から眺める槍ヶ岳と月

3日目 三俣山荘-船窪小屋

8/30 行動時間13時間30分 距離22km

3日目は朝3:30に起きて準備。この日は距離が長い上に水不足で山小屋で水を買えるか不明な状況。烏帽子岳から船窪小屋も情報が少なく、出発前から一番不安な工程だった。
テン場で水を汲み、6L持っていくことに。出発は4:20くらい。
まだ暗い中鷲羽岳へ。登り途中で雷鳥2羽に遭遇。
1時間ほどで山頂に着くとちょうど日の出が。昨日歩いてきた三俣蓮華岳や双六岳が赤く染まっていく。

鷲羽岳山頂からの眺め

そこからワリモ岳へ。以前来た時は暴風雨の中で真っ白だったので、こんなにアップダウンがあることを初めて知る。水晶方面へ進んでいくとなだらかな登りで景色も最高。
水晶小屋は黒部方面が一望できる最高の位置にあった。水も野口五郎方面から来た人に話を聞くと一応購入できるとのこと。1.5Lほど減らす。

そこからはギザギザの稜線へ降って行き、そこを越えると野口五郎が目の前に。なだらかで雄大に佇んでいる野口五郎岳を登っていく。

雄大な野口五郎岳

天気はとてもよく最高暑いくらい。少し風が吹いてくれて助かる。野口五郎岳を越えると野口五郎小屋が。昔ながらな佇まいが良い。水は1人500mlまでだったがまだ足りそうだったから購入せずトイレだけ利用。そこから烏帽子へ向かう途中、稜線の広い場所で右側を通り過ぎる人がいて見てみると、いつも一緒に山に登っているカメラマンの竜也さんが!こんな山奥で大好きな人に会えて体の奥から元気が湧き出た。いろいろ話して竜也さんは水晶小屋へ。

竜也さん

烏帽子はすぐかと思ったけど意外と遠い。烏帽子についたけど昼食はなかったため、持参したバタチキカレーメシとポテサラ、コーラを一気飲みしていざ船窪へ。

烏帽子岳

まずは烏帽子を通り過ぎて、南沢岳へ。烏帽子岳を通り過ぎると池がポツポツある道、少し登山道に草が多い。船窪方面から来た人とすれ違い、この先の道の情報や船窪テント場について聞けた。南沢を越えるとこの先の道らしき山々が、アップダウンがたくさんありそうだ。

実際不動岳への登りは急できつく、白い砂で崩れかかっているざれ場は怖く、クマも出てきそうな雰囲気。
登ったと思ったらそれ以上に降る、という繰り返し。船窪第二ピークで出会ったご夫婦が船窪方面に行くとのことで少し安心。到着は5時を過ぎそうだ。

船窪山頂付近は特にロープやパイプがある馬の背のような場所があり、しかも白い砂で崩れかかっている。大キレットより怖い。薮もあって体やザックにぶつかりストレスがかかる。悪天候の際はこのルートはやめた方が良さそう。

最後も上りで、なんとかテント場に到着。しかし受付する必要がある船窪小屋は徒歩20分ほど歩いた場所にあるため、まだ長い1日は終わらない。受付を済ませ、水を購入しテントを設営。

この日は過去1番疲れた山行だった。三俣山荘から船窪小屋を1日で歩くのはおすすめしません。
ただこの日があったから、この後しんどい場面があっても3日目に比べればマシだと思い足を進めることができた。

アップダウンが激しい樹林帯
崩れそうな道が続く

4日目 船窪小屋-種池山荘

8/31 行動時間10時間30分 距離15.7km

船窪から見える槍ヶ岳
船窪から見える立山
富士山も

船窪テント場で4時半くらいに起きて前日出会ったご夫婦と話しながら準備。別れてまずは七倉岳へ。思った以上に綺麗な稜線で槍ヶ岳や他の山々も全て見える。空も少し色づいて雲もいい感じ。

七倉の後は北葛岳を目指す。

七倉岳付近で出会った雷鳥

少し体の疲れも残っており、降りもゆっくり歩く。蓮華岳まではアップダウンが凄そうな予感。思ったよりは道は安定していた。蓮華岳に登るところは鎖場が続き、ほぼ岩登りのようだった。

蓮華岳の山頂になんとか辿り着くと、そこから針木方面へ続く素晴らしい稜線が。大町方面の街や立山方面も綺麗に見えた。なだらかで優しい感じ。幸せを噛み締めながらその稜線を歩いた。こういう心の底から幸せを実感できる瞬間が山では時折訪れる。それをまた味わいたいから山にまた向かうのかもしれない。

針ノ木岳

針ノ木小屋で休憩し、暑い中針ノ木岳に登り、ザレた降りを進みスバリ岳へ。黒部湖も綺麗に見える。立山に向かう際に利用するロープウェイや湖面を進むガルべも見えた。

黒部湖

そこからの稜線も最高で、けれど赤沢岳の登りはなかなかにしんどく、山頂かと思ったらまだ奥が数回続いた。汗も止まらないから水を飲み休憩を挟みながらなんとか新越小屋へ。そこでチャーシュー醤油ラーメンが注文できて味も最高だった。久しぶりのしっかりしたご飯は身にしみ、そこから種池山荘へ向かうためのエネルギーをチャージ。

新越小屋のチャーシュー醤油ラーメン

種池山荘への道は整備されて歩きやすい道で、クマの心配だけがあったが幸い大きいフンをいくつか見かけただけ。種池山荘についてオレンジジュースを飲み、テント撮影や服を干したり片付けたり。
夜ご飯は早めにスモールツイストのミートソースパスタと山荘で購入したビール。

山で歩き続けるのは辛いけれど、結局一歩一歩前に進むだけ、と感じながら歩いた。
翌日からも体力と天気、あとiPhoneの充電が少し不安。

5日目 種池山荘-唐松岳頂上小屋

9/1 行動時間11時間 距離14.7km

朝3:30に起き、お茶漬けを少しとカロリーメイトを食べ、4時過ぎに出発。まだ暗いなか爺ヶ岳への緩い登りを進む。

中峰では日の出前の少しずつ明るくなる様子を360°パノラマで楽しめた。

爺ヶ岳から見る富士山

冷池山荘に向かう途中で日の出を拝み、今日もいい1日になりそうだと感じる。

冷池山荘でオレンジジュースを飲み鹿島槍に向かう。ここまではこれまでの疲れが少し残っている感じがしたから登りも焦らず登る。自分の中でのゆっくりペースでも結構いいペースになる。

鹿島槍南方に到着しジャーキーを少し食べたらヘルメットをつけて北峰へ。そこからキレット小屋までだんだん調子が出てきた。キレット小屋手前はかなり危険な鎖場が続き下を見るとかなり下まで。落ちたら即死。

キレット小屋で休憩してからの五竜岳への道は長いがペースが良くどんどん進んでいった。五竜岳手前からはかなりの急登でそこから鎖場が続く。そしてやっと山頂へ。今日歩いてきた稜線が見え、反対にはついに唐松や白馬方面、そして日本海が。

五竜山荘へ安全に降って行き、いなり寿司とビタミンジュース、冷たいお茶を飲み、最後の唐松岳へ向かう。

五竜岳

五竜山荘から唐松岳への道はとてもいい稜線で、風も心地よく進んだけど大黒岳付近から風がなくなりかなりの直射日光。日傘の出番。高倉屋さんが重要性を説いていた意味を実感した。

唐松への最後は鎖場、岩場が出てきて傘をしまいラストスパート。小屋に到着したがテント場は結構人がいる。唐松岳頂上小屋のテント場は小屋より下にあり、到着が遅れると小屋から遠い下に設営する必要がある。実際かなり下の方に設営することになったが開放感があり、景色も抜群!

唐松岳頂上小屋とテント場

寝袋、テント、服、ザックなど全てを乾かしながらマットで日向ぼっこ。こういうのんびり空を眺める時間がとても自分にとって大切なんだと改めて思った。

寝袋
靴や衣類を天日干し

6日目 唐松岳頂上小屋-朝日小屋

9/2 行動時間12時間 距離21.6km

まだ薄暗い唐松岳

夜寒くて起きる回数が多かった。3時半くらいに起き、トイレしたい気がして、上の小屋に上がるには時間がかかるから、ぱぱっと荷物まとめて山荘前で最終身支度することに。

5時少し前に出発して日の出前の良い時間を唐松岳山頂で過ごした。妹と昨年の夏に登った時以来。その時は山頂でガスってしまったのでこの景色を妹にも見せてあげたいなと思った。

唐松岳山頂でご来光を待つ人々

自分は日の出を待たずに不帰キレットへ。他に不帰方面へ行く人はおらず、先に1名女性がいるのみ。不帰キレットは最初は普通の岩場だが、途中から結構なアップダウンと鎖場が。今回の旅で歩いた他のキレットに比べると難易度は高くはないが油断せずに進む。無事にキレットを超え天狗山荘へ。

天狗山荘は目の前に雪渓が残っていて水は組み放題、そのまま飲める。小屋の雰囲気も居心地が良さそう。今度はゆっくり来たい。

天狗山荘を出て丘を越えると白馬三山を見渡せる素晴らしい稜線へ。今日は予報はイマイチかと思ったがかなり良さそうだ。

白馬三山の稜線

疲れもそこまでなくどんどん進む。白馬鑓ヶ岳、杓子岳へ。今のペースや天気を考慮しこの時点で明日日本海への下山を決意。

白馬山荘にはスカイレストランがあり、アイスとかあれば嬉しいなくらいだったけどまさかの山賊焼+ソースカツ丼の信州丼とかき氷が、、高いけど惜しまず全て注文。ここで1時間くらいゆっくり休憩をとった。

信州丼は絶品

その後は白馬岳へ。ここからはこの後向かう雪倉岳、朝日岳が見えた。
雪倉岳への道も下り基調でとても良い。雪倉避難小屋からの登りがかなりキツく体力消耗。このペースだと栂海山荘の到着は20時をすぎそうなためもともとの朝日小屋に宿泊することに決める。雪倉岳山頂に着くとここから見える白馬岳が、母の昔のアルバムに載っていた姿と同じだった。
山頂でゆっくりぼーっとする。最高。ここの登山道を歩いていると、母が昔歩いた道だったんだなあと不思議な気持ちになった。

雪倉岳から見る白馬岳
左上、母のアルバムにある雪倉岳から見る白馬岳

ここから朝日小屋はすぐかと思いきやかなり道のりが長い。早く帰りたい、ゴールが見えてしまったため少し焦ってしまったかも。もっと目の前の景色を楽しんだほうが良いなと思った。

水平道に入ると木道が続く素晴らしい道。あまり人が歩いてないみたいで勿体無い。黙々と良い道を歩く、小さい池もちらほら。後半には水場があり約1週間ぶりに頭と顔、上半身を洗えた!

明日本当に親不知海岸まで下山できるのか不安がまとうなか朝日小屋の受付へ。気さくな受付のおじさんに親不知まで降りると伝えると、水場がまた枯れた場所がある、熊はふつう、稜線を繋いだ道だからアップダウンがすごいという情報をもらった。

今日が最終営業日だからかテント場はかなり人がいた。テント場はとても開放的な空間で人は多くても居心地が良かった。トイレもあり、水も無料で出てくる。周りの景色も最高。 
ラスト1日最後まで楽しもう!

朝日小屋テント場
雲の上にあるようなテント場

7日目 朝日小屋-親不知海岸

行動時間11時間 距離26.5km

今日が最終日になるのか、できるのか。

親不知観光ホテルの温泉は15時まで入浴可能とのことで、間に合うように2:00起き、3:00出発。もともと白鳥小屋で1泊予定を短縮して1日に変更。そもそも歩き切れるのかという不安も少しある。

不安ななかナイトハイクでまずは朝日岳へ。

星が綺麗に出ていてオリオン座も見える。富山方面の夜景も綺麗。400m登りだけどところどころ木道があり思ったより登りやすい。山頂付近はなだらかで木道が敷いてありとても良い景色。もっと明るい時間にも来てみたい。そこから降りが始まる。

暗い中でも程よい降りで、体に任せて駆け足に降っていく。時間を気にしながらは勿体無い、、明るい時だったら本当に最高な道だろう。

湿原のようになっていて木道がかなり整備されている。栂海新道はもっとアドベンチャーな道かと勝手に思っていたけど、印象がどんどん良くなる。

徐々に空が明るくなるにつれて安心してくる

かなり降っていくと日の出が。やっと明るくなってきた。
涼しいうちにできるだけ進んでおく作戦にしてよかった。
日が出るとガンガン暑くなり、稜線沿いの道には容赦なく日が降り注ぐ。

栂海新道は基本稜線を繋げた道のため必然的にアップダウンが激しくなる。標高を下げると木陰もあれどアップダウンはやはり多く、登りの時に体温が上がり熱中症気味になってしまった。水は3リットル持ってきたけど、足りるか怪しかったため飲みすぎないでおいたせいもある。途中の水場もほぼ枯れていたり登山道からは10分以上離れてしまうため寄るのはやめた。

結果的に500ml余ったけど自分に必要な水の量はもっと知っておくべきだった。

暑すぎて危険だと思ったらザックをおろし水分補給。木陰で放心状態で休んだのも今では良い思い出。汗が凄まじく、手拭いがすぐびしょ濡れに。iPhoneもタッチできなくないくらいだった。

木陰を見つけては休憩していた

結構進んだかなと思ってマップを確認すると思ったより進んでない。もともと計画を0.8倍の速さに設定していたから、ペースを上げたと思ってもそこまで短縮できていない。そんな中でも粘り強く歩くことが出来て、この旅の中でも根性がついたと思う。

海が見えてからが本番。近いようで遠い。

最後の方も海は見えそうで見えず、森の中を延々と降り時々登り返す。
そしてやっとの思いで親不知観光ホテルへ。

栂海新道の入口

水分不足だったため、歩きながらずっと飲み物のことを考えていた。ホテル前には希望通り自販機があり、やっと水分補給。ネクターを購入すると7777で当たりが出てリンゴジュースも追加。

水分を欲しすぎて白鳥小屋にトレイルエンジェルの水とかの差し入れがあるかもと自分を奮い立たたせたりもした、なかったけど。

親不知観光ホテルの自販機

ジュースを一瞬で飲み干し、海岸へ。海岸への道がこれまた急で5分くらい降る。

なぜか勝手に砂浜を想像してたけどたくさんの岩がゴロゴロと転がっていた。

上高地から歩いてきた足を日本海の海水へ。日本海は思ったより冷たくなく、暖かく感じた。

日本海へ。

この後はホテルで1週間ぶりに温泉に入り汚れを落として親不知駅へ。

親不知観光ホテルは温泉と送迎のセットがあるので利用するのがおすすめ。
事前予約が必要だったので山の中の電波が通じる場所で予約しました。

親不知駅から松本駅まで5時間かかる、思ったより遠いけどゆっくり、電車旅もまた良し。

一緒に歩き切った道具たち。

旅の中での気づき・課題

・お茶漬けは朝からたくさん食べることができなかった。パンや行動食系の方が朝食には向いていた。
・日傘は重要、風や周りの人の多さなどを考慮して使用する必要あり。
・計画はもっと休憩時間を考慮しないと歩いている時の自分を追い立て苦しめる。
・着替えは結果的に使わなかったけど雨を考えると今回の装備で良かった。ナツミチは1着でもよかったかも。
・ヘルメットの付け方もっと改良の余地あり
・手拭いより乾きが良く匂いもつきずらいタオルがあったら良い
・麦茶がとてもよかったけどスティックタイプだとゴミが嵩張る
・和菓子系、特に羊羹必要だった。うっちー羊羹くれてありがとう。
・耐熱袋は麺などで破けていることもあり対策何かないかな?
・テントの結露対策もっとしたい。虫が多い場所もあり蚊帳はあった方が快適。
・下山後のサンダルなどあれば快適。靴が臭い。けど山行中は不要だった。
・モバイルバッテリーは20000apで意外と足りた。
・カメラのバッテリーはあまり撮らなければ2つあれば十分だった。今回は合計3つ携帯。
・レインパンツが結構役だった。朝露に濡れないように、夜寒い時用に。
・寝る時用のタイツはもっと肌触りとか良い方が快適。
・ボディタオルペーパーは持って行って正解だった。寝る時はベタつかない方が良い。
・歩きながら飲めたり食べれたりするシステムを構築できればわざわざ立ち止まっての休憩を減らせそう。休憩の長さもどれが自分に合っているかもっと研究したい。
・山で本は読まないから持って行かなくてい良い。
・マットは半身で問題ないけど、足元思ったより冷えた?もっと厚い方が寝心地は良さそう。

全体の感想

 上高地から親不知海岸への道を7日間かけて歩き切った中で、その山ごとに景色や植生、特徴が異なりその違いを実感しながら歩くことができました。やはりこの北アルプスという山域が特別な場所で、そしてその一部である乗鞍高原で暮らせていることのありがたさも実感しました。
 今回自分は運良く歩き切ることができたけれど、そこに向けた準備から楽しみながらできて、一生の思い出になるんだろうなと感じています。またこのような長期の休暇の機会を多く提供してくれている藤江さんやスタッフに感謝して、この環境や楽しませてくれた自然に恩返ししていきたいと思います。

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